2006年05月29日

スタン・ケントン・イン・アントニオ・ブラジレイロ

昨日の日曜日は上田力さんから呼び出しをいただいて、初夏の夕方に楽しくお喋りをしながら食事とアルコールをご馳走になってきました。

いつものようにたくさんのことを教えていただいたのですが、一つ紹介すると、『アントニオ・ブラジレイロ』の冒頭の「ソ・ダンソ・サンバ」の間奏はスタン・ケントンのパクリだよね、と上田さん。ああ、そうだったかと思って、自宅に帰って慌ててスタン・ケントンを引っ張り出し、おお、これだったかと感激しています。

しかし、『アントニオ・ブラジレイロ』を聴いた日本人のどのくらいの人が「これはケントンだ!」と気が付いたでしょうね。世界中でもどうでしょうね。

トムと同時代に生き、世界中の音楽を分け隔てなく聴いてきた上田さんだから理解できることがたくさんあると思います。

2006年05月28日

これ全部イネーヂト?

アントニオ・カルロス・ジョビン研究所のウェブサイトにトムの曲のデータファイルがアップされつつあるのですが……。

「Adeus」
「AIRFIELD」
「ALORS TU ME COMPRENDRAS」
「ARRIVAL OF THE WANDERERS」

どれも初めて聴くタイトルだ……。

これ全部、未発表曲なのでしょうか?

今のところ363曲が掲載されているようですが、まさに未曾有の大発掘がなされているようです。こうなると、トム・ジョビンが上田力さんに語った「私は全部で500曲くらい作っている」という言葉が現実味を帯びてきます。

興奮してしまいます。

2006年05月25日

有馬稲子、ジョビンを訪ねる

トム・ジョビン来日公演のパンフレットでもう一つ興味深いのは、有馬稲子さんが寄せている一文です。有馬稲子さんはこう書いています。

「9月2日放映のテレビ東京「出会い街角エトランゼ」の取材でブラジルへ飛び、そして思いがけずアントニオ・カルロス・ジョビンさんにお目にかかれたのです!!」

そういう番組が放送されていたのですね。僕は当時テレヴィのない生活を送っていたもので、全然知りませんでした。うーむ、観てみたいものです……。

そう言えば、「ジョビンは来日した時にイレブンPMに出演しましたよ」と証言する方もいらっしゃいます。意外にそういう日本のテレヴィ番組がいくつかあるのかもしれませんね。これまた、ご存知の方がいらしたら教えていただきたいものです。

2006年05月24日

地方公演情報求む

トム・ジョビンの来日公演のパンフレットを捲っていて、ああ、そうだったんだと改めて思い出すのは、トムの公演は日比谷野音の2日間だけではなかったのだということ。そのスケジュールを書き写してみます。

アントニオ・カルロス・ジョビン1986日本公演

一般公演
8月2日(土)6:30PM 東京・日比谷野外音楽堂
8月3日(日)5:00PM 東京・日比谷野外音楽堂
8月5日(火)6:30PM 札幌・北海道厚生年金会館
8月8日(金)6:30PM 名古屋・愛知県勤労会館
8月11日(月)6:30PM 大阪・フェスティバルホール

ディナーショー
8月1日(金)6:30PM 東京・キャピトル東急ホテル 真珠の間

鑑賞団体公演
8月4日(月)6:30PM 東京・中野サンプラザホール

ジャズ・フェスティバル公演
第1回シミズ国際ジャズフェスティバル
8月10日(日)1:00PM〜9:00PM 清水・日の出埠頭

このスケジュールを眺めると、札幌、名古屋、大阪の公演というのが非常に気になります。あと、清水のジャズフェスというのも興味津々です。でも、日比谷野音についてはいろいろな方から思い出を聞く機会があるのですが、地方公演のことって全然聞こえてこないのですよね。いったいどういう演奏だったのでしょう?

と思っていたら、先日初めて、「札幌公演に行きました」という方にお会いしました。「すばらしかった」そうです。そういう話、もっと聞きたいです。地方公演を体験された方がいらしたら、思い出をぜひともお聞かせいただけないでしょうか? 

コメントをお待ちしております。

2006年05月23日

「ジョビン・イン・ジャパン」映像の2つのヴァージョン

レーザーディスクとして一度発売されたトム・ジョビン来日時の日比谷野外音楽堂のライヴ映像。僕もそのLDの映像を長年楽しんできたのですが、最近ある方からNHKテレヴィで放送された方を見せていただく機会がありました。で、LD版とNHK放送版の曲目の違いが確認できたのでメモしておきます。

まず、LDの収録曲目は次の通りです。

1.「サンバ・ヂ・ウマ・ノタ・ソOne note samba」
2.「ヂサフィナードDesafinado」
3.「おいしい水Água de beber」
4.「想いあふれてChega de saudade」
5.「コルコヴァードCorcovado」
6.「ウェイヴWave」。
7.「ヂンヂDindi」
8.「サビアSabiá」
9.「ア・フェリシダーヂA felicidade」
10.「ジェット機のサンバSamba do avião」
11.「三月の水Águas de março」
12.「イパネマの娘The Girl From Ipanema」
13. 「サンバ・ヂ・ウマ・ノタ・ソOne note samba」

そしてNHK版は、このうち4.「想いあふれて」のあとに「ベベルBebel」が入ります。さらに、7.「ヂンヂ」のあとに「ルイーザLuiza」が入り、その代わりに8.「サビア」がカットされています。だからNHKの方が一曲多いのですが、でも、「サビア」も惜しいし、甲乙付けがたいですね。

それとNHK版は、LD版の唯一の不満だったリオの風景の映像などはまったくなくて、演奏の映像だけです。だからこちらの方が映像資料としては断然好ましく思えます。あと、「ヂンヂ」の前にトムのお喋りが入っています。例の「ボサノヴァは日本人に似ている」発言も聴くことができます。

コンプリート・ヴァージョンのDVD発売は、難しいのでしょうかね?

2006年05月22日

上田力さんとナンダ・ノヴァの「ジョビン・マイ・ラヴ」

*土曜日まで仕事でロサンジェルスにいて、書き込みを休みました。前にも書いたけれど、この季節のLAにはブラジルのジャカランダが咲き誇っています。トム・ジョビンはLAに住んでいた頃、この木を見てブラジルをずいぶん懐かしがったのではと思います。

昨日は都内新大久保spaceDOで上田力さんとナンダノヴァの「ジョビン・マイ・ラヴ」のライヴでした。

上田さんのアレンジはますます茶目気が出てきているように感じました。最後に「ウパ・ネギーニョ」になっちゃったのは「インセンサテス」だったでしょうか? それから「ファランド・ヂ・アモール」における吉田さんの歌詞の朗読! クライマックスの「ボト」もいつにも増して盛り上がりました。

上田さんとトム・ジョビンの編曲の最大の共通点は、トロンボーンです。上田さんもトムもトロンボーンが好きだったのだろうなあと思います。そして、その次に、トムの編曲におけるフルートがこのナンダ・ノヴァではバスーン(ファゴット)に置き換わっています。

あと、この日は「ピアニスト上田力」を随所で再認識させられました。ほんのちょっとしたフレーズのセンスが、やはり抜群にすばらしいと思います。昨日はかなり気持ちよくお弾きになっていたように思いました。

ライヴのあとは打ち上げに混ぜていただいて、いろいろお話できて楽しく時間を過ごしました。でも僕はビールを飲み過ぎました。反省。

ところでトム・ジョビンが来日して今年で20年。上田さんとナンダノヴァの次回のライヴは8月20日なので、言わばトム・ジョビン来日20周年ライヴです。

*このブログを読んで会場にお越しくださった皆さん、どうもありがとうございました。
posted by naoki at 23:09| Comment(17) | TrackBack(1) | ライヴ・リポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月15日

20万アクセスを突破しました

いつもありがとうございます。5月13日までのアクセス数が200,633件となり、20万件を突破したことになりました。一昨年10月10日の開設以来、1年7ヶ月3日目のことでした。

相変わらず画像はありませんし、こんなに工夫のないブログも今どき珍しいと思うのですが、ご覧いただいて本当に嬉しく思います。ここまで続けてこれたのも、お読みいただいている皆さんからの励ましと脅しのお言葉があったからです(笑)。どうもありがとうございます。

ちなみに、アクセスがダントツに多いのはジョアン・ジルベルト関連の記事です。それでジョアンのことをもうちょっと書きたいと思っているのですが、訳そうと思っていた資料がどこかにいってしまった(笑)。まあ気長にやります。どうぞ過度に期待なさらないでご覧ください。

さて、今日から5日間くらい仕事の都合で書き込みを休みます。どうぞお許しを。では皆さん、おやすみなさい。
posted by naoki at 00:55| Comment(15) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月14日

5月13日に聴いたレコード

*昨夜は変な時間に寝たり起きたりしてしまったので、今朝は9時半に起床。5月にしては肌寒い雨の一日。以下、ほとんどずっとパソコンに噛り付いて仕事をしながら。

『ブラジルヴィル/ザ・チャーリー・バード・トリオ・ウィズ・バド・シャンク』A面

『ショーロの巨匠 ルペルシ・ミランダ』AB面

『魅惑のショーロ カルロス・ポヤーリス』AB面

『サマー・オヴ・42/ミッシェル・ルグラン』A面

『グランヂス・アウトールス ノエル・ホーザ』AB面

『ブルー・マンハッタン/アル・ヘイグ』A面

『ルイーザ/バーバラ・カッシーニ』

『ザ・ポール・デズモンド・カルテット・ライヴ』

『アモール・ヂ・ジェンチ・モッサ/シルヴィア・テリス』

『ソングブック ノエル・ホーザ』

『レトラ&ムジカ ノエル・ホーザ/ジョニー・アルフ&レアンドロ・ブラーガ』

*AB面の表記があるものがLPで、ないものがCDです。

*何だかノエル・ホーザな一日でした。
posted by naoki at 03:14| Comment(28) | TrackBack(0) | 今日聴いた音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月13日

想像してみて、ペレとガリンシャをだけ集めたサッカーのブラジル代表チームを。想像してみて、ジョビンとシッコのみで編成されたオーケストラを。想像しました?

表題は、あるカシャッサの宣伝文句だそうです。さて、想像しました?

以前にも紹介したことがありますが、このコラムシリーズを、僕は愛読しています。


posted by naoki at 05:00| Comment(10) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月10日

プロパロシートナス?

トムの妹のエレーナ・ジョビンが書いた「アントニオ・カルロス・ジョビン ボサノヴァを創った男」の翻訳をぱらぱらとめくっていたら、気になるところがあったので、原書を引っ張り出してその箇所を探してみました。

トムは、「三月の雨」(と国安さんは訳しています)を書いた頃にはシコ・ブアルキの『コンストゥルサォン』に夢中になっていたそうです。そして、「シコは語尾から三番目の音節にアクセントのある言葉を、他の誰にもできないほど見事に使うと言っていた」と、翻訳にはあります。

原書のその箇所を探すと、「語尾から三番目の音節にアクセントのある言葉」は、「palavras proparoxítonas」です。でもこの「proparoxítonas」という語は、あちこち調べてみたのですけれど、今のところ僕にはわかりませんでした。

今後新たな発見があればまた書きたいと思いますが、それにしても、トム・ジョビンやシコ・ブアルキがヘドンヂーリャだとかプロパロシートナスだとか、要するに歌詞の音節に関することを非常に大切に考えていたことだけはわかります。これは大変に興味深いことです。

その心境・感覚に迫りたいものです……。

コメント:
luzazulさん、お久しぶりです。ありがとうございます。これで単純明快に理解できますね。以下、アクセント記号を残したいのでこちらに追記の形で書きます。

最後の音節にアクセントのある語が、palavras agudas または oxítono。

最後から二番目の音節にアクセントのある語(普通の語)が、palavra paroxítona または palavras graves。

最後から三番目の音節にアクセントのある語が、palavra proparoxítona または palavras esdrúxulas。

となるのですね。

想像するに、プロパロシートナが作り出すリズム感のようなものがあると思うのです。でもそれは僕の耳にはまったくわかりません。ポルトガル語に堪能な方にはぜひともこういうことを解説していただきたいです。
posted by naoki at 01:17| Comment(111) | TrackBack(1) | シコ・ブアルキのこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月09日

上田力さんのライヴのお知らせ

アントニオ・カルロス・ジョビンの全曲演奏に取り組んでいる上田力さんとナンダ・ノヴァの「Jobim My Love act 37」が、5月21日(日)に都内・新大久保のspace Doで行なわれます(開場 2:30 p.m. / 開演 3:00 p.m.)。チケットと問い合わせはTEL/FAX03-3408-7588の「Space Nova」辻さんまで。世間一般のいわゆるボサノヴァの演奏とは一味違った料理のジョビン・ナンバーが楽しめると思います。

僕も伺う予定にしていますので、会場にお越しの方はぜひ声をおかけください! (ちなみにこの場では缶ビールくらいしか飲めないと思います)。


posted by naoki at 01:28| Comment(6) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月08日

『ブラジリアン・マンシーニ』ジャック・ウィルソン(後)


*さて、昨日の続きです。

ところでジャック・ウィルソンというピアニストは、ブルーノート盤『イースタリー・ウィンズ』がちょっと知られているくらいなのですが、そちらは「ド」がつくくらい元気なハードバップ。リー・モーガン、ジャッキー・マクリーン、ガーネット・ブラウンの三管を従えて、むしろジャズロックに近い、どちらかと言うと『サイドワインダー』みたいなレコードになっています。

ところがその録音はどうも彼の本意ではなかったそうで、アトランティックに吹き込んだ『ジャック・ウィルソン・カルテット』などではまったく異なる表情を見せています。タッチもとても丁寧。ここでは「コルコヴァード」を演奏していて、この解釈がなかなかユニーク。もしかしたらトム・ジョビンはこの演奏を気に入って、二人の親交が始まったのかもしれません。

ちなみにジャック・ウィルソンはブルーノートの『ソング・フォー・マイ・ドーター』というアルバムでは「Se Todas Fossem Iguais A Voce」(ママ)を演奏しているのですが、米国流のタイトルを用いないで、ちゃんとこのように表記していて、作者としてもトムとヴィニシウスの名前を登録しています。これはとても好ましいことです。

ともあれ、トム・ジョビンの長い長いキャリアの中にこういうアルバムが残されているのはファンにとってはとても喜ばしいことです。僕たちは録音されたものに耳を傾ける以外に彼の音楽に触れる方法はないのですから。

ぜひともCDで再発売して多くの人に聴いていただきたい一枚です。今まで一度もその痕跡がないのは、VAULTというレーベルは権利の問題がよほど難しいのでしょうか?

この件はこれでおしまい。あと、フイ・カストロによる解説はこちらです。


2006年05月07日

『ブラジリアン・マンシーニ』ジャック・ウィルソン(中)

*昨日の続きです。

ジャック・ウィルソンはピアニストです。トム・ジョビンももちろんピアニストです。それでトムはこのアルバムにヴィオロニスタとして参加しています。

トム・ジョビンのファンとしては、ほとんど笑ってしまうような話です。トムのような名ピアニストにピアノを弾かせないで、ヴィオラォンを弾かせるなんて、一体全体どういうつもりなんだと。

トム自身、このアルバムのことをこういうふうに言っています。

「アメリカ人にとってブラジル人はラテンの恋人なんだ。そしてラテンの恋人はヴィオラォンを演奏しなくちゃならないんだ」

ところが、レコードに針を落としてみると、この演奏がすばらしいのです。

「トム・ジョビンはヴィオラォンの名手説」は、この欄でも多くの方にご賛同いただいている「事実」なのですが、もしかしたら彼のヴィオラォンをいちばん堪能できるのがこのアルバムかもしれません。

ほとんど前面に出ることはなく、ずっとサポートに徹していて、派手なところはまったくないのですが、こんなに適確なジャズ・ボッサのギターは聴いたことがないと言っても良いくらいです。絶妙の間合い。ぶれがまったくない。本当にうまい。トム・ジョビンがヴィオロニスタとして参加しているアルバムの中でも、このアルバムにおける演奏は特に見事だと思います。

アルバム全体は、ヘンリー・マンシーニの退屈なナンバーが並んでいて、それをほとんどメリハリなく、室内楽的に演奏しているのですが、それがかえって効を奏しています。誰一人でしゃばっていないし、どの曲も同じみたいに聴こえます(笑)。でも、繰り返して聴いても味わいの落ちない、好盤だと思います。中庸の勝利。そしてもちろんその中でトム・ジョビンのサポートはアクセントと表情を与えています。

(続く)

2006年05月06日

『ブラジリアン・マンシーニ』ジャック・ウィルソン(前)

*今朝入浴していたら、ものすごい羽音がして、危ないと思って慌てて窓を閉めると(僕は晴れた日には窓を開けて入浴しています)、なんと換気口からくまんばちが浴室に入り込んできました。非常に無防備な状態だったので、一人でパニックに陥ったのですが、すぐに入ってきたところから自分で出て行ってくれました。怖かった。死ぬかと思いました。

さて、ゴールデンウィークらしく、「あ、こんなところにマエストロが!」の特別版を。

アントニオ・カルロス・ジョビンのリーダー・アルバムを買い集めていって、共演者として参加しているアルバムもぼちぼちと買い足していくと、やがてとても気になるアルバムが現われてきます。それがこのアルバムです。

リーダーはジャズ・ピアニストのジャック・ウィルソン。ヴァイブラフォンはロイ・エアーズ。シコ・バテーラとセバスチアォン・ネットも参加しています。そして、「スペシャル・ゲスト・アーティスト“トニー・ブラジル”オン・ギター」と紹介されているのが、誰あろうトム・ジョビンです。

1962年に渡米したアントニオ・カルロス・ジョビンは、1964年にワーナーと専属契約を結びます。そしてその後にジャズ・ピアニストのジャック・ウィルソンと知り合います。おそらく二人は意気投合したのでしょう。ジャック・ウィルソンは自己のアルバムで演奏して欲しいとトム・ジョビンに持ち掛けます。けれどもトムはそれはできないと断ります。だって僕はワーナーと契約を結んだばかりなんだから。君のレコードに参加したら契約違反になるよ。でもジャック・ウィルソンは諦めません。だったら本名を出さなければ良いじゃないか? 匿名でレコーディングするんだよ。誰にもわかりっこないさ……。

こうして、奇妙奇天烈なレコーディング・ネーム「トニー・ブラジル」が誕生しました。

(続く)

2006年05月05日

シコのDVD新作3本は……

*世間は連休で、僕も事務所は休みなのですが、仕事を大量に持ち帰っているので、むしろいつもよりも忙しい感じです。ハイホー。

シコ・ブアルキの新作DVDシリーズについては、過去6本をこの欄で褒めちぎりましたけれど、シリーズの最後になる3本は、僕はあまり面白くないと思います。

愛の歌をテーマにした「Romance」、サッカーをテーマにした「O Futebol」、音楽と文学との関係をテーマにした「Uma Palavra」の3本ですが、ちょっと無理やりというか、企画が「思い付き」の範疇を出ていないと思います。僕には退屈でした。

うちの相方などは、「シコが動いている!」というだけで目をうるうるさせる人なので、こういう人には良いのかもしれませんが、こういう人でないかぎりは買って観る価値はないのではないかと思います。

いちばん興味深く観たのは、ペレが出てくるところかなあ。

*ところでシコの新作CDを、僕はまだ聴けていません。手軽に入手できるまで待つつもりでいるのですが、しかしなんということだ……。

*追記
これには僕のポルトガル語の理解能力の問題が大きくあると思います。シコが喋っていることの7割くらいはまったく理解できませんので。ポルトガル語に堪能な方であれば、案外楽しめるのかもしれません。と、一応フォローしておきます。
posted by naoki at 03:31| Comment(10) | TrackBack(0) | シコ・ブアルキのこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月03日

トム・ジョビンはドリヴァル・カイミに付き添ったか?

こがねいさんからご指摘いただいた件の回答です。

「トム・ジョビンとドリヴァル・カイミがアンディ・ウィリアムス・ショウに同時に出演したことがある」というのは、やはり僕の早とちりのようです。どうやら、一緒に出演したのではないようです。

僕がそう思い込んだのは、いくつかの文献にトムとカイミとアンディ・ウィリアムスが一緒に写っている写真が載っていて、そこに「Tom e Caymmi com Andy Williams em seu programa na TV americana,1965」(Songbook TOM JOBIM)とか「Com Dorival Caymmi no programa de televisão de Andy Williams」(Cancioneiro Jobim)といったキャプションが書かれていたからでした。ドリヴァル・カイミがアンディ・ウィリアムス・ショウに出演したのはトムの仲介があったからだという話はどこかで読んで覚えていたので、トムもカイミと一緒に出演したのだと思い込んでしまったようです。

でも、こがねいさんのご指摘のように、この写真のトムの服装はラフ過ぎるし(ポロシャツなのでしょうか?)、アンディ・ウィリアムスは台本のようなものを持っています。そう言われてみると確かに、本番中ではなく、まるでリハーサル中のような写真です。

それでいろいろと引っ繰り返して調べてみたのですが、セルジオ・カブラルの「Antônio Carlos Jobim」(未邦訳)の239ページに、こういう記述がありました。

「彼(トムのこと(岩切註))はアンディ・ウィリアムスの番組に三回出演した。この番組はアメリカ合衆国のテレヴィでは音楽界で最高の権威であり、この国の最高の視聴率で全米に放送されていた。(中略)このブラジル人作曲家(トムのこと(岩切註))はアンディ・ウィリアムスと大の友人になり、ドリヴァル・カイミの保護者のようなもの(uma espécie de padrinho)になった。後者がテレヴィ番組に出演した時には収録の開始まで彼をあやしていた(paparicando-o)」

要するに、「収録直前まで付き添っていた」ということのようのです。すなわち、「本番には一緒に出演しなかった」ということのようです。

また、この時のことはエレーナ・ジョビンの「アントニオ・カルロス・ジョビン ボサノヴァを創った男」(青土社)の160ページにも書かれています。翻訳が出ているので引用はしませんが、これも同様に、「トムは自分は出演しないのに、カイミのリハーサルに立ち会っていた」という主旨のことがほのめかされています。

以上、こがねいさんのご指摘で自分の思い込みを正すことができました。どうもありがとうございました。また、混乱を招くようなことを書いてしまって申し訳ありませんでした。

*でもその場にトムもいたのなら、一緒に出演させなかったNBCは、まったくしようがないですね。TVなんて古今東西そんなものでしょうか?

*それにしても、ほとんどの方にとっては「一体それがどうしたんだ?」という話かもしれません……(でもこういうディテールを積み重ねていくと、時には鉱脈を掘り当てることもあると思っています)。

2006年05月02日

『パウロ・セーザル・ピニェイロ』

トム・ジョビンが「マチータ・ペレー」を共作者のパウロ・セーザル・ピニェイロとデュエットしているこのアルバムも、今日ではほとんど話題にならなくなってしまいました。1980年の録音だと思います。

「マチータ・ペレー」のこのトラックは、もしかしたらアルバム『マチータ・ペレー』におけるトムのトラックに匹敵するかもしれない名演です。パウロとトムが交互に歌いつないでいくのですが、それほど歌がうまいとは言えないこの二人、しかし、すばらしい味わいがあります。こういう味は作者にしか出せません。アレンジ(ドリ・カイミ)はほとんど『マチータ・ペレー』そのままなのですが、途中、より大胆にテンポを変えている箇所もあります。ピアノはハダメス・ジナタリです。

レコードの中・裏ジャケットのトムの写真が面白い。コーヒーを片手に視線を落として気取っています。

2006年05月01日

『オ・コルサーリオ・ド・ヘイO Corsário do Rei』エドゥ・ロボ シコ・ブアルキ

ずいぶん前にえんたつさんがこのアルバムのことを話題にしていましたね。シコ・ブアルキとエドゥ・ロボが共作したサウンドトラックのアルバムは数枚あるのですが、これもその一つです。録音は1985年。ジャヴァンとかガル・コスタとかナナ・カイミとかイヴァン・リンスとかも歌っています。どういう映像だったのかはまったく知りません。

で、B面2曲目でシコとエドゥの「ショーロ・バンヂード」をエドゥが歌っていて、そのバックでトムがピアノを弾いています。トムは時々バックコーラスも付けています。アルバム全体で言うとつまらない曲もあるのですが、この曲だけは「格」が違います。もともとは小品だと思うのですが、実にダイナミック。とても奥深いです。なお、歌詞カードにはこの曲に「このショーロはマエストロ・アントニオ・カルロス・ジョビンに捧げられている」と書かれています。

それにしても、えんたつさんの奥さんの「海の王族」というのは名訳です。本当に。

CD化を望む。