2006年07月30日

アントニオ・カルロス・ジョビン来日20周年

1986年7月末、トム・ジョビンことアントニオ・カルロス・ジョビンは初めて日本の地を踏みました。

最初の演奏は8月1日(金)の東京・キャピトル東急ホテル・真珠の間のディナーショー。東京公演は8月2日(土)・3日(日)の2日間が東京・日比谷野外音楽堂、4日(月)が中野サンプラザで、その後、札幌、名古屋、大阪を公演のために回ります。

そしてその前の7月30日に、上田力さんが東急ホテル・月光の間でトム・ジョビンにインタヴューしています(上田さんの前のインタヴュアーが筑紫哲也氏だったそうです)。ですからトムが日本に到着したのは遅くとも7月29日だったのではないかと想像します。

その後、残念ながらトム・ジョビンの再来日はかないませんでした。でも、例えばライヴにおける「ガロータ・ヂ・イパネマ」のエンディングのアジア風(中国風?)メロディに、あるいは同じくライヴにおいて時折喋る「ありがとう」という挨拶に、日本との接点を感じずにはいられません。ちょっと極端に言うと、トムの中に日本は生き続けていたのではないかと思います。

その上田さんとのインタヴューで、トムは「ボサノヴァは日本の女性に似ている」などというまことに意味深長な言葉も残しています。

あれから20年。

日本が失ってしまったものとブラジルが失ってしまったものを思いながら、今夜は日本公演の映像でも観ながら寝ることにします。

2006年07月29日

続々・ジョアンの「三月の水」のオリジンは…

1972年に……『マチータ・ペレー』が発売される前の年に……「三月の水Águas de março」を録音したアーティストの中に、エリス・レジーナの名前があります。アルバム『エリス(1972)』のB面1曲目に収められています。

この録音を今聴くと、『エリス&トム』(1974年)におけるトムとエリスの世紀のデュエットの原型のような感じがします。トムのオリジナルの「ヂスコ・ヂ・ボルソ」の録音では伝え切れていなかった微妙なニュアンスを、さすがにエリスは最高のテクニックで表現しています。このアルバム、エリスがセーザル・カマリゴ・マリアーノと組んだ最初のアルバムなのですが、セーザルの功績も非常に大きいと思います(セザールはもちろん『エリス&トム』の立役者でもあります)。

そしてレコーディングの順番で言うと、(1)「ヂスコ・ヂ・ボルソ」のトムの初演、(2)エリスのこの『1972』、(3)『ザ・ベスト・オヴ・トウー・ワールズ』のジョアン、(4)ジョアンの『ジョアン・ジルベルト(三月の水)』という順番になるのではないかと考えます(その間にここで話題にしていない演奏はさらにいくつかあります)。ジョアンはエリスのこの録音も絶対に聴いていたものと思います。全体の構成とヴォーカルの表情にそれを感じます。

本にも書きましたけれど、「三月の水」という曲は不思議な曲で、トム・ジョビン本人は、作曲直後にこの曲の偉大さを本当には認識していなかったのではないかと僕は思っています。そして、取り上げるアーティストたちがこの曲にどんどん磨きをかけていったのではないかと。ジョアン、エリス、セーザル・カマリゴ・マリアーノ。そういう意味では「三月の水」は、「極めてブラジル的な一曲」と言えるような感じもします。

2006年07月28日

続・ジョアンの「三月の水」のオリジンは…

で、「三月の水Águas de março」のそれぞれのレコードの録音日・発売日を調べてみました。

ジョアン・ジルベルトがアルバム『ジョアン・ジルベルト』を録音したのは、1972年9月から1973年3月にかけてのようです(来日コンサートのプログラムのディスコグラフィより)。

一方、トムが「ヂスコ・ヂ・ボルソ」のためにこの曲を録音したのは1972年の3〜4月です(「カンシオネイロ・ジョビン」より)。発売はその数ヵ月後だったのではないかと思います。

そして、『マチータ・ペレー』の録音は1973年1月で、発売は同年5月8日でした(同じく「カンシオネイロ・ジョビン」より)。

もちろん『マチータ・ペレー』の発売前にジョアンがその録音を耳にしていた可能性はなくはありません。でも普通に考えれば、ジョアンがコピーしたのは「ヂスコ・ヂ・ボルソ」の演奏の方だったと考えるのが理にかなっています。時間的に考えて。

さらに、『ザ・ベスト・オヴ・トウー・ワールズ』というタイトルの、ジョアン、ゲッツ、ミウーシャのアルバムに収められている「三月の水」の録音は1972年だったというデータが、セルジオ・カブラルの「アントニオ・カルロス・ジョビン」に掲載されています。これが本当だとすると(たぶん本当だと思うのですが)、ジョアンにとってはこちらがこの曲の初演ということになります。

そしてジョアンの『ジョアン・ジルベルト』における「三月の水」は、この『ザ・ベスト・オヴ・トウー・ワールズ』での演奏をほとんどそのまま再現したもの(それにミウーシャやゲッツやベースやパーカッションを付け足したもの)です。

やはりこの曲は「ヂスコ・ヂ・ボルソ」の演奏の方が、少なくともジョアンにとっては、「オリジナル」だったのではないかと思います。

2006年07月27日

ジョアンの「三月の水」のオリジンは…

ジョアン・ジルベルトの『ジョアン・ジルベルト』に収められている「三月の水Águas de março」を聴いていて、気がついたことがあります。ジョアンはどうしてこの曲をこういうふうに演奏したのだろうかということです。

ジョアンは、トム・ジョビンのこの曲のオリジナル演奏をベースにしたのではないでしょうか? すなわち、アルバム『マチータ・ペレー』に収録されているもたもたした自演ではなくて、冊子「ヂスコ・ヂ・ボルソ」の付録として付けられたシングル盤におけるせかせかした自演の方をです。

『マチータ・ペレー』の方をベースにしていたら、こういうテンポでは演奏しなかったのではないかと思います。もうちょっとゆっくりと弾いて歌っていたのではないかと思います。それからエンディングのスキャットも、トムのオリジナルの(「ヂスコ・ヂ・ボルソ」の)演奏で提示されているモチーフをジョアンが展開させているような印象があります。

この曲のオリジナル演奏としては『マチータ・ペレー』の方が浸透していると思いますけれど、ジョアンを始めとする当時のボサノヴィスタたちの間では、「ヂスコ・ヂ・ボルソ」の早口言葉的演奏の方が当たり前のようにオリジナルとして普及していたのかもしれないと、ふと思った次第です。

2006年07月24日

トム・ジョビンのモントリオール・ライヴDVDが発売

1986年のモントリオールのライヴも、ビスコイト・フィーノからDVDが発売されます。http://biscoitofino.uol.com.br/bf/cat_cada_cd.php?id=228

この記事によると、収録曲は次の通りです。僕は以前に見ていますけれど、日本公演やLAのガルとの共演同様、トム・ジョビンもバンダ・ノヴァの面々も絶快調の演奏です。
「Água de Beber」
「Chega de Saudade」
「A Felicidade」
「Garota de Ipanema」
「Samba de Uma Nota Só」
「Wave」
「Samba do Avião」
「Waters of March」(versão de Águas de Março vertida para o inglês pelo próprio Tom)
「Two Kites」
「Gabriela」
「Falando de Amor」
「Borzeguim」

ボーナス映像として1981年に自宅で受けたインタヴュー(インタヴュアーはジャーナリストのホベルト・ダヴィラ)も付くようです。非常に「告白的で感動的」な内容だそうで、そちらも楽しみです。
posted by naoki at 23:25 | TrackBack(0) | トム・ジョビン・没後10年 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月22日

シコ・ブアルキ、七年ぶりのツアー開始

*「ラティーナ」のサイトにシコのツアー開始の記事が載っていたので、オフィシャルサイトからその部分を拾い訳してみます。


長いこと観客の前に出ていませんでしたが、シコ・ブアルキは来月サンパウロで「カリオカ」の国内ツアーを始めます。このツアーは2007年6月までブラジルの七都市以上で行なわれます。カンピーナス、リベイラォンプレート、リオデジャネイロ、ベロオリゾンチ、ポルトアレグレ、レシーフェ、サルヴァドール(日付が確定しているもの)での出演が発表されていますが、長いシーズンにはほかの都市も加えられるかもしれません。このツアーは携帯電話のTIMのスポンサーシップを得ています。

(中略)

最初の舞台は8月30日に2,200人を収容するサンパウロのトム・ブラジルで予定されています。新譜発売記念のショウはこの会場で毎週木曜から日曜まで三週間にわたって続けられます。切符の発売は来週月曜日の7月24日に始まります。

ステージに現われるのはうるう年的で、シコ・ブアルキはこの30年間にたった四つのツアーシーズンしか実行していません。「Chico e Bethânia」(75年)、「Francisco」(88年)、「Paratodos」(94年)、「As Cidades」(99年)です。今回連れ立つバンドはこの前のツアーと同じです。指揮と編曲と音楽監督のルイス・クラウヂオ・ハモス(ヴィオラォン)、ジョアン・ヘボウサス(ピアノ)、ビア・パエス・レーミ(キーボード)、ウィルソン・ダス・ネヴィス(ドラムス)、シコ・バテーラ(パーカッション)、ジョルジ・エルダー(コントラバス)、マルセーロ・ベルナルデス(フルートとホーン)。舞台装置と照明はエリオ・エイチバウアーとマネコ・キンデリー。デザインはマルセーロ・ピエス。プロデュースはヴィニシウス・フランサです。

(後略)

*来日なんて、夢のまた夢なのでしょうかね……。
posted by naoki at 20:51| Comment(16) | TrackBack(0) | シコ・ブアルキのこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月18日

「ジョビン・マイ・ラヴ」次回のライヴは8月20日

上田力さんとナンダ・ノヴァの次回の「ジョビン・マイ・ラヴ」は、ひょんなことから、「トム・ジョビン来日20周年記念」のライヴとなりました。

20年前の1986年7月30日、キャピトル東急地下1階・月光の間で、上田さんは初来日したトム・ジョビンにインタヴュー。それから20年の時を経て、「ジョビン全曲演奏」という途方もないプロジェクトに取り組む「ジョビン・マイ・ラヴ」の38回目のライヴが行なわれます。

真夏の日曜日の夕方、ビールを片手に聴きたいものです……。

Jobim My Love 〜act 38〜

2006年8月20日(日)@ 新大久保 space Do

■お申込先・お問い合わせ先■
mail hiroshiueda_key@yahoo.co.jp

Space Nova(辻)tel.& fax. 03-3408-7588
posted by naoki at 23:34| Comment(15) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月16日

7月15日に聴いたレコード


*8時起床。以下、期限の迫った仕事の山と一日闘いながら。

『彼女はカリオカ/ジョアン・ジルベルト』

『永遠のナザレー/マリア・テレーザ・マデイラ&ペドロ・アモリーン』

『ジプシー娘と結ぶ夢/アダルベルト・アルバーレス』

『ルイーザ/バーバラ・カッシーニ』

『ハーフ・ムーン・ベイ/ビル・エヴァンス』

*雷雨。停電。

『アバンドンド・ガーデン/マイケル・フランクス』

『夜明けのサンバ/パウリーニョ・ダ・ヴィオラ&エルトン・メディロス』

『ドン・サルヴァドール・トリオ』

『少女の恋/シルヴィア・テリス』

*以上、今日は珍しくすべてCDでした。

posted by naoki at 00:50| Comment(12) | TrackBack(0) | 今日聴いた音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月12日

ジョアン、過去の60曲

今からジョアンで盛り上がっていても体が持たないことはわかっているのですが……。さっきから、一昨年の公演の時にまとめたものを読み返していました。

ジョアン・ジルベルトが過去二度の来日の計十回の公演で演奏した楽曲は、僕の手元の記録によると60曲あります(あの即興の「ジャパォン・メウ・コラサォン」を除く)。

特筆すべきは、10回の公演で毎回必ず「日本初演」の曲があったこと。こんなアーティスト、やはりなかなかいませんね。

ではその60曲を。

アコンテシ・キ・エウ・ソウ・バイアーノAcontece que eu sou baiano
アデウス・アメリカAdeus América
ア・フェリシダーヂA felicidade
三月の水Águas de março
十字架のもとでAos pés da cruz
ブラジルの水彩画Aquarela do Brasil
アス・トレス・ダ・マニャンÀs três da manhã
モーホのアヴェ・マリアAve Maria no morro
バイーア・コム・H Bahia com H
ビン・ボンBim bom
紙風船Bolinha de papel
喧嘩にさようならBrigas, nunca mais
十字路Caminhos cruzados
想いあふれてChega de saudade
コルコヴァードCorcovado
クラレCrare
話から話へDe conversa em conversa
ヂサフィナードDesafinado
オール・オヴ・ミーAll of me(Disse alguém)
ドラリッシDoralice
エクリプシEclipse
エスターテEstate
まなざしEste seu olhar
僕のサンバEu sambo mesmo
ファルタ・メ・アルゲンFalta-me alguém
ある夜Foi a noite
イパネマの娘Garota de Ipanema
インセンサテスInsensatez
イザウラIsaura
イスト・アキ・オ・キ・エIsto aqui o que é?
リジアLigia
ロウコLouco
マルカ・ナ・パレヂMarca na parede
メヂタサォンMeditação
海の奇蹟Milagre
ムラータ・アサニャーダMulata assanhada
僕は家へは戻らないNão vou pra casa
ノヴァ・イルザォンNova ilusão
平和な愛O amor em paz
オデッチOdete
オンヂ・エスタォン・オス・タンボリンズOnde estão os tamborins?
オ・パトO Pato
プラ・マシュカル・メウ・コラサォンPra machucar meu coração
マダムとの喧嘩は何のため?Pra que discutir com madame?
プレコンセイトPreconceito
愛の忘れものQue reste-t-il de nos amours
白と黒のポートレイトRetrato em branco e preto
ホーザ・モレーナRosa Morena
我が故郷のサンバSamba da minha terra
サンバ・ヂ・ウマ・ノタ・ソSamba de uma nota só
ジェット機のサンバSamba do avião
バイーアの郷愁Saudade da Bahia
セン・コンプロミッソSem compromisso
あなたなしでSem você
ソ・ダンソ・サンバSó danço samba
あなたの腕の中でSó em teus braços
ティン・ティン・ポル・ティン・ティンTim tim por tim tim
ボンファに捧ぐUm abraço no Bonfá
ヴォセ・ヴァイ・ヴェルVocê vai ver
ウェイヴWave(Vou te contar)

2006年07月10日

ジョアン・ジルベルト来日公演発表

eメールで教えていただいたのですが、ジョアン・ジルベルトの日本公演が正式に発表になりました。チケット情報はこちらです。

公演日
2006年11月4日(土)
2006年11月5日(日)
開演:5:00PM  開場:4:00PM

2006年11月8日(水)
2006年11月9日(木)
開演:7:00PM  開場:6:00PM

会場:東京国際フォーラム ホールA
席種・料金: S・12000 A・10000

うーん、またあの濃密な日々がやってくるのかあ。

僕は今年はさらっと楽しみたいと今のところは思っているのですが……。ふたを開ければそんなことは言っていられないかも知れません(それに、自分のことを記録係だとも思っているので)。

まだまだ時間があるので、このブログでもああだこうだ言いながら楽しみに待ちたいです。

ジョアン、万全の体調で来日してくれることを祈ります。

*11月というと、問題のエアコンは、暖房になるのでしょうかねえ?

*7月9日までのアクセス数が230194と、23万を超えていました。いつもご覧いただいてありがとうございます。

7月9日に聴いたレコード

*8時起床。今日は一日、非常に集中して仕事をしながら、合間に時々音楽を掛けていました。

『ジョビン&ガーシュウィン集/カルロス・バルボーザ・リマ』A面

『ジュニア/ジュニア・マンス』A面

『タイド/アントニオ・カルロス・ジョビン』AB面

『テテ・ア・テテ/アート・ペッパー ジョージ・ケイブルス』A面

『カーザ/モレンバウム2 サカモト』AB面

『サムシング・クール/ジューン・クリスティ』A面

『デオダートの新しい空間/デオダートとドナート』AB面

『セプテンバー・イン・ザ・レイン/ジョージ・シアリング』AB面

『バド・シャンク&ヒズ・ブラジリアン・フレンズ』AB面

『ブルー・ヘイズ/マイルス・デイヴィス』A面

『人生は居酒屋/ベッチ・カルヴァーリョ』A面

『ムード・インディゴ/デューク・エリントン』A面

『ジャニスの部屋/ジャニス・イアン』A面

『ファースト・テイク/ロバータ・フラック』B面

*さて、FIFAワールドカップの決勝は、あとで録画を観ます。おやすみなさい。
posted by naoki at 01:34| Comment(11) | TrackBack(0) | 今日聴いた音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月06日

2001年7月5日モントリオールのジョアン(下)

*昨日の続きで、これが最後です。

突然誰かが「サウダーヂ・ダ・バイーア!」と叫んだ時、彼はある曲のコードを弾き始めたところでした。彼はすぐに演奏しかけた曲をやめ、"Ah...mas que saudades da Bahia.../ Se eu escutasse o que mamãe dizia..."と歌い始めました。また別の場面では、彼が次に演奏する曲を迷っていると、誰かが「自分の曲を歌ってよ!」と言いました(「ビン・ボン」のことを言っていたのだと思います)。ジョアン・ジルベルトの唯一の反応は、微かに笑っただけでした。澄み切った笑顔で。照れ臭そうな笑顔で。

要約すると、そのショウはすばらしく、ジョアンの機嫌もそれ以上はあり得ないほどで、会場にいたブラジル人、アメリカ人、ドイツ人、カナダ人を含む3500人を満足させました。ショウは22:00に始まって、00:10に終わりました!! サウンドはすばらしく、完璧で、ジョアン・ジルベルトの手がヴィオラォンの弦を滑る音まで聴こえるくらいでした。ボサノヴァを愛するすべてのうるさ型に感動を与えました。本当に信じられないくらいでした。

僕はジョアンの次のショウを待っています。僕はまた行きます。僕はただ主催者が同じような気まぐれを起こすのを待っています。カナダ人たちがその公演を体験するべきだと。結局、ジョアンがふさわしいのだと。

*今度はリクエストに応えるジョアンというのも見てみたい気がします。

2006年07月05日

2001年7月5日モントリオールのジョアン(中)

*昨日の続きです。

アンコールで、ジョアンはボサノヴァの時代のヒット曲を「アモール・エン・パス」から歌い始めました。僕がこれはトラブルになるかもしれないと思った唯一の瞬間はその時でした。誰かが何かを喋っていて、彼はただこう訊きました。「君たちはこれは聴きたくないんだね?」。でも、にも関わらず、彼は歌い続けました。「ヂサフィナード」「シェガ・ヂ・サウダーヂ」「ガロータ・ヂ・イパネマ」「アモール・エン・パス」。そのほかにはアリ・バホーゾのブラジルを歌った曲も含まれていました(Isso aqui o-ô/É um pouquinho de Brasil ia-á/ Desse Brasil que canta e é Feliz,/ Feliz, Feliz,....)。この部分で、僕は思いました(僕の意見です)。このショウで最も感動的だったのは、顕著だったところでは「シェガ・ヂ・サウダーヂ」の時間でした。でも顕著ではなかったところでは、このブラジル人がこの歌詞を囁くのを聴けた場所でした。それが最も感動的な場面でした。

アンコールが終わると、ジョアン・ジルベルトは立ち去りました。照明が点いて、観客は立ち上がり、拍手を始めました。出て行った人もいました。すると突然、我らのアーティストがヴィオラォンを手に戻って来て、次のアンコールのために着席したのです。

*うーむ、会場が明るくなっても諦めてはいけないということですね。

(続く)

2006年07月04日

2001年7月5日モントリオールのジョアン(上)

*まだ、例の件は正式には発表になっていませんね。もうしばらくはこういうものでも読みながら待つこととしましょうか?

以前に「クルービ・ダ・トム」に寄せられたファンからのライヴ・リポートです。ちょうど5年前のカナダのモントリオール・ジャズ・フェスティヴァルでのライヴの様子です。



モントリールのジョアン・ジルベルト
ダニエル・シモモート・ヂ・アラウジョ
2001年7月5日

親愛なるルイス

カナダのジョアン・ジルベルトのショウはセンセイショナルでした。このブラジル人アーティストは、毎年カナダの日(7月2日)に合わせて6月の終わりか7月の初めに行なわれる第22回モントリオール国際ジャスフェスティヴァルを記念するプログラムの中でショウを開くために招かれました。

そのショウは7月5日に開かれました。20:30に始まる予定だったのですが、遅れたために、結局22:00に始まりました(知らされていた通り、ジョアン・ジルベルトのフライトは遅れました。主催者側の職員がそう言っていました)。

ショウはフェスティヴァルのメイン会場のウィルフリッド・ペレティア・ホールで行なわれました。公演の初めに、茶色のスリーピースのジョアンは、ステージの上を立ち止まらずに歩いて来て、観客に一言も言わずに、もうトム・ジョビンとニュウトン・メンドンサの「サンバ・ヂ・ウマ・ノタ・ソ」の演奏を始めていました。観客には正式に拍手喝采する間もなく、曲が終わると、彼はすぐに次の曲を始めていて、公演の最初のファイナルまでそういう調子でした。彼はトム・ジョビンのたくさんの曲を演奏して歌い(曲の60%以上がマエストロの曲だったと思います)、スペイン語で歌い(ジョアン・ジルベルトの1992年のアルバムの中の複数の曲です)、一曲は曲の前半部分で演奏をやめてしまいました。その曲のタイトルは思い出せないのですが、"...agora vou para casa..."という曲です。

(続く)

2006年07月03日

『ブラジル、ウィズ・ラヴ』カルロス・バルボーザ・リマ

*ブラジル、負けてしまいましたね……。大変なことになってしまいました……。

以前にカルロス・バルボーザ・リマの『ジョビン&ガーシュウィン集』について書いたことがありましたが、そのカルロス・ボルボーザ・リマとシャロン・イズビンのギター・デュオのLPを見つけて買ってきました。A面がトム・ジョビン集、B面がピシンギーニャとナザレー集。1986年録音のコンコード・ピカンテのアルバムです。

サウダーヂとグルーヴがちゃんとあるとても良い演奏です。二人の息はあまりにも良く合っていて、ちょっと聴くと一本のギターで演奏しているように錯覚してしまいます。トムの曲はカルロス・バルボーザ・リマとトム本人が共同でアレンジ。トムはここでも裏ジャケットのライナーを書いています。この録音を聴いてとても喜んで、思わず歌い出し、踊り出してしまったと書いています。そして、「アコースティック・ギターは最も完璧な楽器の一つだ。二台が完全なハーモニーを保っているところを想像してみよう。それはまったくミスのない室内楽オーケストラのようなものだ」と書いています。

トムの曲は、「バラに降る雨」、「ガロート」、「太陽の道」など、どれもとても良いです。そしてB面のピシンギーニャとナザレーがまた良いです。すごいテクニックです。

2006年07月01日

ソングブック カルロス・リラ

トム・ジョビンが参加しているルミアールのソングブックの中でもいちばん地味で注目されていないのがこれではないかと思います。カルロス・リラのソングブックの冒頭で、「サンバ・ド・カリオカ」を歌っています。

1993年の録音ですが、トムのヴォーカルも好調で、バンダノヴァの息がぴたりと合っています。この曲、『ヴィニシウスを歌う』でも演奏していますが、あのしんみりした空気とは対象的な印象の好演です。演奏時間が短いのがもったいないくらいです。

それにしてもいつもながら豪華なメンバーの一枚です。カエターノ、ジョアン・ボスコ、ジル、ガル、などなど。リラ本人は小野リサと「マリア・ド・マラニャオン」を歌っています。

http://www.submarino.com.br/cds_productdetails.asp?Query=ProductPage&ProdTypeId=2&ProdId=262807&ST=SE&franq=2009