2007年04月27日

エレーナ・ジョビン『アレイア・ド・テンポ』

エレーナ・ジョビンがトム・ジョビンの曲をバックに自作の詩を朗読する『Areia Do Tempo』というCDをようやく手に入れました。

僕のポルトガル語力では朗読を聴いただけでは詩の内容はとても理解できないし、ブックレットの活字を追いながら聴いても意味を把握するのは困難です。時間のある時にゆっくり辞書を引こうと思います。

ただ、『ジョビン・シンフォニコ』の楽曲を背景にエレーナのトムを思う詩の朗読を聴いていると、それだけである種の感慨にひたひたと浸されていきます。万人にお勧めできるアルバムではないと思いますが、僕などには非常に貴重な一枚です。

ちなみにタイトルは、『時の砂』もしくは『時間の愚行』というような意味です。

いちばん驚いたのは、エレーナの喋り方がトムにそっくりなこと。そうそう、兄弟姉妹って、喋り方が似るんですよね。昔、うちの弟@が女の子と電話で喋っているのを横で聴いていて、自分とほとんど同じ口調でデートに誘おうとしているので恥ずかしくていたたまれなくなってしまったことがありました。まあそんなことはどうでもいいのですが、エレーナの朗読もまたとても音楽的なのに驚きました。詩なのだから、当たり前といえば当たり前と言えるかもしれませんが。

エレーナ・イザウラ・ブラジレイロ・ヂ・アルメイダ・ジョビンは1931年2月23日生まれですから、今76歳です。早く会いに行かないと。

参考

2007年04月22日

「マリアの話はしないで」『シコ・ブアルキ・ヂ・オランダNo.4』その2

マリアの話はしないで

マリアの話はしないで
マリアは海を思い出させる
海はあの日を思い出させる
それは良い思い出ではない
あの日、あの哀しみ
あの夜、あの苦しみ
流れを引き寄せ
潮の香りをもたらし
風を打つ
風の音を思い出させる
痛みを思い出させる
僕には価値がないという痛みを

話はしないで、君は陰謀を企んでいる
ただの想像上の
時代は暗くなる
驚きは海を動揺させる
海はあの日を思い出させる
あの日はあの歌を思い出させる
あの歌はマリアを思い出させる
でも僕は何も思い出さない
深刻になることは何も
僕の心の中に
竜巻のような
惨めさを作り出すものは何も

*シコの『No.4』の中でも最高の名曲。新緑の日曜日の早朝にビールを飲みながら訳してみました。外ではウグイスが鳴いています。
mariaとmarとmaresiaとmereciaとmisériaという言葉の語感を楽しんでいるシコの様子が目に浮かぶような曲です。音楽と歌詞の間に波の音が聞こえてきそうです。
そうなんだ、mariaの語源はmarなんだと今やっとわかりました。下手な翻訳ですが、CDにはプロの翻訳が掲載されると思いますので、それまでのご愛嬌ということで。
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2007年04月19日

真夏の日比谷野音でトムのトリビュート・コンサート

8月18日に、トム・ジョビンのトリビュート・コンサートが彼のゆかりの地、日比谷野音で開かれるそうです。日比谷野音!? 何だか本当に予言した通りになってきたのが、極めてジョビン的な展開であります。

出演は、トムとレコーディングしたこともある小野リサと、ゲストにパウロ・ジョビン、ダニエル・ジョビン、ミウーシャなど。何でもいいけど、心のこもったライヴになることを、切に切に切に、祈ります。

*実は僕は小野リサはCDも持っていないしライヴも聴いたことがないし、大島守さんの「ボサ・ノヴァが流れる午後」でどういう少女だったかを読んだことがあるだけです。当日が楽しみです。
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2007年04月16日

4月15日に聴いたレコード

*もう夜が明けてしまいましたが、昨日聴いたレコードをメモしておいたので書いておきます。1日ずっと女性ヴォーカルのデュオ・アルバム(広い意味での)をかけていました。

『シングス・ザ・ベスト・オヴ・ルイス・ボンファ/マリア・トレード』

『エドゥ・イ・ベターニア/エドゥ・ロボ&マリア・ベターニア』

『パット・モラン・カルテット』A面

『コメント/レス・マッキャンとロバータ・フラック』A面

『イパネマの娘/ホーザ・パッソス&ロン・カーター』

『ブルース&バラード/カーリン・クローグ&デクスター・ゴードン』A面

『ワンダ・サー・ウィズ・ボッサ・トレス』

『ときめきの出会い/リナ・ホーン&ガボール・ザボ』AB面

『インテルプレタム・カンサォンズ・ヂ・アントニオ・カルロス・ジョビン/カロル・サボヤ&ネルソン・ファリア』

『風のささやき/ローラ・フィジィ・ミーツ・ミシェル・ルグラン』

『トゥード・イスト・エ・アモール2in1/ディック・ファルネイ・イ・クラウデッチ・ソアレス』

『デュエット/ジューン・クリスティ スタン・ケントン』AB面

*AB面の表記のあるのがLPで、ないのがCDです。
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2007年04月14日

カート・ヴォネガットの冥福を祈ります

12日の夕刊の訃報を見落としていました。カート・ヴォネガットが亡くなったとのこと。とても淋しいです。呆然としてしまいます。

僕はヴォネガットの「拡大家族」という考え方は絶対にトム・ジョビンの音楽の方法に通じていると考えていました。そのことを書いたこともあったのですが、誰からも何の反応もなかった。いつかそのことをヴォネガットと話したいと思っていたのですが、まさかかなうはずもなく、かの「宇宙のさすらいびと」に「すばらしいこと」が起こってしまいました。今ごろ「天の誰かさん」の前で「初めまして」と挨拶していることでしょう。チリンチリン。

今日は仕事を早くやっつけて、グールドをかけながら「チャンピオンたちの朝食」を読みたいです。僕が初めて原書で読もうとした小説でした。

最後に、「ジェイルバード」の中から僕が世界でいちばん好きなジョークを。シチュエーションを説明しないと面白くないかもしれないけど、ヴォネガットの人生観が凝縮されているように思える一節です。

「きょうは火曜日のような気がしてならないわ」
「きょうは火曜日でございます」
「だからそんな気がするのよね」


僕はカート・ヴォネガットの冥福を心から祈ります。

公式サイト
posted by naoki at 14:14| Comment(10) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Chico Buarque De Hollanda E Noel Rosa Na Voz De Isaura Garcia

最近、夜それほど遅くない時間に眠りに入り、夜中に起き出してビールを飲みながらもう一仕事することが少なくありません。

さっきから、最近復刻されたイザウラ・ガルシアのシコ・ブアルキとノエル・ホーザ集を聴きながら原稿を書いていました。このCDは日本で結構売れたのだと聞きましたが、本当でしょうか? ちょっと信じられないのですが。

全曲完全にイザウラ・ガルシア流(坂尾さんの言うところの激しいイタリアなまりの発音を含む)に料理されているからなのかもしれませんが、「シコ・ブアルキ+ノエル・ホーザ」というのは好企画かもしれないと思います。全体にまったく違和感がありません。考えてみるとシコの原点はノエル・ホーザあたりかもしれない。あくまでも「かもしれない」のでしかないのですが。以前に「フィロソフィア」も歌っていましたしね。

深夜の一人仕事(あるいは一人酒)のおともにこういうアルバムは悪くありません。全然紹介になっていませんが…。

参考
posted by naoki at 04:48| Comment(10) | TrackBack(0) | 新譜紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月11日

『シコ・ブアルキ・ヂ・オランダNo.4』その1(たぶん続きます)

以前に書いたような事情があって『シコ・ブアルキ・ヂ・オランダNo.4』を最近ずっと聴いていたのですが、うーむ、これは本当に良いです。改めて大好きになりました。

「『Vol.3』は好きだけど、『.4』はあまり聴かないなあ」とか、「シコが良いのは『コンストルサォン』からだよ」とか思っているそこのあなた! この『No.4』、5月に国内発売される予定ですので、ぜひお買い求めください。

ライナーに書けなかったことを一つ書いておくと、僕は昔からこのアルバムをビートルズの『ラバー・ソウル』みたいだなあと思いながら聴いていました(ですから『コンストルサォン』は『リヴォルヴァー』です)。そのあたりも、聴いていただけると良くわかると思います。

ただ、シコ本人はあまり気に入っていないらしいのです。そこがまた面白いのですが。
posted by naoki at 23:28| Comment(12) | TrackBack(0) | シコ・ブアルキのこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月08日

ペレよりもガヒンシャ

ブラジル音楽ファンにはサッカー・ファンが多いと思いますが、僕はサッカーはそれほど詳しくありません。でもラグビー・フットボールを心から愛しているので、兄弟分のアソシエイション・フットボールについても、スペースの感覚とか、しつこいディフェンスとか、本質に近いことはちょっとはわかると思います。

僕が小学生の頃にはニューヨーク・コスモスが来日しました。当時のラジオの宣伝をよく覚えています。「ペレ、ベッケンバウワー、最強の男たちがやって来る!」。試合もテレビで見ましたが、それはそれほど覚えていません。それよりもラグビーのウエールズ来日を良く覚えています。

サッカーで一番熱狂したのは、1982年のワールドカップ、イタリアがブラジルを破ったゲームです。ロッシ。ゾフ。ソクラテスやジーコには申し訳ないですが、僕は徹底的に判官びいきの人間なので、皆さんごめんなさい。あとあの頃は三菱ダイヤモンドサッカーは良く観ました。

それで表題なのですが、ペレってもちろんすばらしいのですけれど、ガヒンシャの方に惹かれるのは、僕が悲劇を愛する人間だからではなくて、あのドリブルに本当に涙が出そうになるからです。

あれは人類の宝物なのではないかと思います。ラグビーで言うとバリー・ジョンかなあ。フィリップ・セラかなあ。いやいや良くわからない。

一瞬の本能的な身の動きで、ディフェンスに膝を付かせて見事に抜き去ってしまうあの動きは、ボサノヴァやサンバの見事な演奏と、絶対に通じています。

音楽とスポーツ。人間の本当に根源的な部分が出るこの2つの芸術を、これからも追いかけたい。

そして、ローマでシコ・ブアルキがガヒンシャと仲良くなったという話を、今度出る『シコ・ブアルキ・ヂ・オランダ.4』のライナーにちょっと書きました。ぜひお読みください。

*シコのDVDシリーズの「フッチボール」編のラストで、シコがペレとデュエットしているのは、ジョアン・ジルベルトの愛唱曲でもある「プレコンセイト」。とても心温まる良いシーンです。
posted by naoki at 04:08| Comment(11) | TrackBack(0) | シコ・ブアルキのこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする