2007年08月27日

今日聴いたジョビン・ソングブック(18)

風はジョビンのように
イリアーヌ
Eliane Elias
Plays Jobim
1989
サンパウロ出身のイリアーヌのピアノ・トリオ+パーカッション。コード・ワークその他がちょっと頭でっかちな感じがする。
3.5

海風とジョビンの午後 イリアーヌ・シングス・ジョビン
イリアーヌ
Eliane Elias
Sings Jobim
1998
彼女の歌には魅力が感じられない。しかしアレンジはとても良いアルバム。
3

ボサ・ノヴァ・コンサート
渡辺貞夫
Sadao Watanabe
Bossa Nova Concert
1967
今改めて聴くと本当に良質のライヴ盤。アルト・サックスはもちろんだが、フルートの曲が良い。菊地“プー”雅章のピアノもすばらしい。ジョビン曲は14曲中7曲。
4

カンデイアス
コン・ヴォセ
Com Você
Candeias
2005
どういう背景かわからないのだが、このユニットは良い。マギー・グレボヴィッチ(ポーランド系?)という女性ヴォーカルが、軽く、でもちゃんと曲を捕まえている。ピアノ・トリオ+テナー・サックスに、曲によってバリトン・サックスやフルートなどが加わる。フランスのレーベル、テキサスの録音、イタリアのプレス。トムの曲は12曲中6曲。
4

ソ・ダンソ・サンバ プレイズ・アントニオ・カルロス・ジョビン&クレア・フィッシャー
クレア・フィッシャー
Clare Fischer
Só Danço Samba Plays Antonio Carlos Jobim & Clare Fischer
1964
「ビル・エヴァンス派」でブラジル好きのクレア・フィッシャー。少ない音数で独特のハーモニーを創り出している。トリオ+ギターの編成。「Desafinado」をもじったオリジナルの「Carnavel」が面白い。10曲中トムの曲は7曲で、あとはオリジナル。
4

*ここまでで通算128枚になりました。

2007年08月26日

今日聴いたジョビン・ソングブック(17)

*まだあとちょっと続きます。

テテ・プレイズ・ボサノヴァ
テテ・モントリュー
Tete Montoliu
Temas Brasileños
1973
バルセロナの盲目のジャズ・ピアニスト。タッチにラテンの血と楽曲への理解が感じられる。メドレー内を含めて13曲中7曲がジョビン・ナンバー。昔からこっそり聴いてきた一枚だが、最近復刻された。
4

ボサノヴァ
アナ・カラン
Ana Caram
Bossa Nova
1995
『The Other Side of Jobim』を裏ジョビン集とすると、こちらが表ジョビン集。12曲中9曲がトムの曲。スティーヴ・サックスのアレンジがほど良い空間を創り出している。
3.5

イパネマの娘
ブラジリアン・トロピカル・オーケストラ
Brazilian Tropical Orchestra
The Best of Antonio Carlos Jobim
1989
イージー・リスニングのオーケストラだが、編曲・演奏ともに高水準。ジョビン曲はブラジル盤では全20曲だが、日本盤では『The Greatest Hits of Chico, Toquinho, Vinicius』との編集によって15曲中10曲に。
3

ブラジリアン・ブリージス……モーストリィ・ジョビン
リディア・グレイ・ウィズ・エド・イーストリッジ
Lydia Gray with Ed Eastridge
Brazilian Breezes … Mostly Jobim
2004?
ギターの伴奏で歌うリディア・グレイは50年代の歌手ベティ・ジョンソンの娘。音に加工をほとんどしていないようで、初々しく、無防備な感じがする。ジャズと言うよりはポピュラー・スタイルの歌唱。13曲中11曲がジョビン曲。日本で売り出せば人気を集めるのではないかと思う。
3.5

リオ・ムーズ ザ・ミュージック・オヴ・アントニオ・カルロス・ジョビン
キマエラ
Kymaera
Rio Moods The Music of Antonio Carlos Jobim
1998?
英国のラテン・ジャズ・バンド。ギターとサックスをフューチャーした演奏。退屈。トムの曲のほかに、トムに捧げた「Into The Rainbow」という曲とあともう1曲が入っている。
1.5

ジョビンに捧ぐ
ベレーザ
Beleza
Tribute to Antonio Carlos Jobim
1995?
ニューヨークのボサノヴァ・ユニット。今ふうの音なのだが、ヴォーカルが良くない。心に残らない。13曲中非ジョビンが4曲。
1

ジャズンボッサ〜ジョビンに捧げる
ドーン・トンプソン
Dawn Thomson
A Tribute to Antonio Carlos Jobim
2000
こちらもニューヨークでギターを弾きながら歌う女性のようだ。聴いているそばからどんな音楽だったか忘れてしまうような音楽。おそらく個性の問題だと思う。12曲中非ジョビン曲が4曲。
1.5

エラ・アブラッサ・ジョビン
エラ・フィッツジェラルド
Ella Fitzgerald
Ella Abraça Jobim
1980〜1981
エラとかサラとか好きではないのだが、このアルバムは強引に自分の歌に引っ張りこんでいるところがすばらしい。完全にジャズ・フィールドの一枚だが、伴奏陣の中ではオスカル・カストロ・ネヴィスが効いている。
5

2007年08月20日

今日聴いたジョビン・ソングブック(16)

*今日は仕事と外出の合間を縫って最近購入した新譜を中心に掛けました。

ザ・ジョビン・ソングブック・イン・ニューヨーク
ザ・デヴィッド・ハゼルタイン・トリオ
The David Hazeltine Trio
The Jobim Songbook in New York
2006
どんよりしていて、印象に残らないピアノ・トリオ。
2.5

ガーシュウィン&ジョビン ヒア・トゥ・ステイ
BR6
BR6
Gershwin & Jobim Here to Stay
2006〜2007
男性5人女性1人のア・カペラのコーラス・グループ。シンガーズ・アンリミテッド+ドゥー・ワップの感じ。ちょっとおどけ過ぎのように思う。13曲中トムの曲は7曲で、あとはガーシュウィン・ナンバー。
2.5

セレブレイト・ザ・ミュージック・オヴ・アントニオ・カルロス“トム”ジョビン
フィル・ウィルソンズ・パンアメリカン・オールスターズ
Phil Wilson’s Panamerican All-Stars
Celebrate the Music of Antonio Carlos `Tom’ Jobim
2005
トロンボーンのフィル・ウィルソンのセクステット。この手のアルバムは多いが、これは的確な好演奏。
3.5

マイス・ウマ……パラ・A.C.ジョビン
イリオ・ヂ・パウラ・コンヴィーダ・ジアンニ・ボッソ
Irio de Paula Convida Gianni Basso
Mais Uma … para A.C.Jobim
2006
イリオ・ヂ・パウラのヴィオラォンとジアンニ・ボッソのテナー・サックスのデュオ。アドリブを抑えたジアンニ・ボッソのサックスがほど良い結果を生んでいる。ゲッツが演奏した曲を中心に構成。ジアンニ・ボッソは音もスタイルもゲッツに似ている。Philologyレーベル。
4

ピアノ トム・ジョビン・ポル・ファビオ・カラムル
ファビオ・カラムル
Fábio Caramuru
Piano Tom Jobim por Fábio Caramuru
1997
ソロ・ピアノのジョビン集。演奏はシンプルで詩情があってとても良い。ただ、CD2枚、全28曲はちょっと疲れる。2枚目には曲によってベースが加わる。「Espelho das Águas」で飛び上がったらジョビン通。
4

エウ・ナォン・エジスト(サンクス、A.C.ジョビン)
リー・コニッツ・ミーツ・リカルド・アリギーニ
Lee Konitz Meets Riccardo Arrighini
Eu Não Existo (Thanks, A. C. Jobim)
2005
ジョビンづいているリカルド・アリギーニのピアノとリー・コニッツのテナー・サックスのデュオ。コニッツはまるで酔っ払っているような吹き方をしている。ジョビン・ミュージックの中で気分良く漂う二人。ピアノ・ソロで演奏される「Ai Quem Me Dera」にはアリギーニのトムに対する思いが感じられる。これもPhilologyレーベル。
4.5

2007年08月19日

トリビュート・トゥ・ジョビン・コンサート

昨日はこの夏いちばん楽しみにしていた「Lisa Ono 2007 SUNSET BOSSA Tribute to Antonio Carlos Jobim」を聴きに日比谷野外大音楽堂に行ってきました。

仕事帰りの日比谷公園。うまい具合にこの日に限って暑さも一段落。蝉時雨と公園内の盆踊りの音の中、ビールを飲みながら開演を待ちます。

17時40分、まだまだ明るい中、パウロとダニエルと小野リサさんとベーシストとドラマーが現われました。パウロとダニエルは黄色いシャツ。小野リサさんは青いドレス。

1曲目は21年前のトム・ジョビンのコンサートのオープニング・ナンバーでもあった「サンバ・ヂ・ウマ・ノタ・ソ」。なるほどの選曲です。

続いて「ソ・ダンソ・サンバ」。例のウディ・ハーマンの入るアレンジでした。

この曲のあとに小野リサさんが挨拶して、「エラ・エ・カリオカ」。さらに「インセンサテス」。ダニエルが曲の最後にペダルを踏みっ放しにして余韻を引っ張っているのが印象に残りました。

このあと、メンバー紹介の間に、「救急車のサイレン」。21年前のライヴのヴィデオを何度も繰り返し観た者がこの日いちばんおっと思ったのはここだったかもしれません。大事ではないことを祈りました。

フルートとチェロが加わって、「コヘンテーザ」。今度は最後にカラスの声。「オーリャ・プロ・セウ」。このあたりは特に小野リサさんの歌が今一つ物足りなく感じました。

曲間には盆踊りの音。「ブリガス、ヌンカ・マイズ」。この曲で初めてパウロが2コーラス目を長く歌いました。

ダニエルと小野リサさんの二人になって、「エストラーダ・ブランカ」。そしてダニエルが一人で「ルイーザ」を弾き語り。この夜のダニエルは終始ニコニコしていて、心地良さそうに演奏していました。

パウロとベーシストとドラマーとチェリストが戻って「ボニータ」。曲間に「東京音頭」が聴こえます。そして「トゥー・カイツ」。好演。この曲でバンドが非常にまとまりました。このあとにチェロをフューチャーしてパウロの「マンチケイラ・ハンジ」を演奏。

そして小野リサさんが出てきてパウロの「サンバ・ド・ソーホー」。2コーラス目はパウロが歌います。この辺りになるとあたりがかなり暮れてきました。

そして「カンタ、カンタ・マイズ」。やはり歌がちょっと弱いのが気になりました。

さらに、「サビア」。この曲が始まった時に流れてきた優しい風。この夜いちばん気持ちの良かった瞬間でした。

小野リサさんが次の曲をヴィニシウスの「ペラ・ルス・ドス・オーリョス・テウス」と紹介したのでおっと思うと、案の定、ミウーシャが上手から現われて歌い始めました。小野リサさんとデュエット。やはりミウーシャはとてもチャーミングで、ステージが突然華やいだ感じでした。

小野リサさんが去って、ミウーシャの歌で「ヴォセ・ヴァイ・ヴェル」。フルートとチェロが出てきて「アノス・ドラードス」。このあと盆踊りの音が流れて、ダニエルが放送禁止用語を発言。まったく、良くない日本語を教える人がいるものです。

そして「エウ・チ・アモ」。さらに「ボト」。これがこの夜のハイライトだったかもしれません。続いて「ケリーダ」。

ミウーシャの歌をもっと聴いていたいと思ったのですが、ここでミウーシャと小野リサさんが入れ替わって、フルートとチェロが入って、「コルコヴァード」。ヘリコプターと盆踊りの効果音。さらに「ア・フェリシダーヂ」。

チェロとフルートが出てきて「ガロータ・ヂ・イパネマ」。これは意表を突いた始まり方で、エンディングは例の中国風メロディで、曲が終わるとダニエルが21年前のトムと同じイントネーションで「ありがとうございました」。

さらに「シェガ・ヂ・サウダーヂ」。大合唱にはなりませんでした。

そして、「アグア・ヂ・ベベル」。イントロでダニエルが弾いた「エストラーダ・ド・ソル」のドビッシーふうのメロディも、21年前のトムとまったく同じでした。ここはじーんときました。

ここで一度終わって、続いてはアンコールで、ミウーシャも含めて全員が出てきて、「サンバ・ド・アヴィァオン」。さらに、「アグアス・ヂ・マルソ」で幕となりました。


全体の感想を言うと、伴奏はとても良くて、特にブレイクしたり再構築したりするところの「ふわっ」や「しゃきっ」のまとまりはさすがでした。でも歌がやはりちょっと残念でした。中でも「サビア」はミウーシャの歌で聴きたかったです……。

それにしても、途中何度も思ったのは、「大丈夫。あなたの音楽はちゃんと歌い継がれていくから」ということ。そして、トム・ジョビンの音楽は緑の中に、風の中に、空の下に置くべきだということ。閉じ込めてはいけないということ。

ありし日のトム・ジョビンを偲ぶには最高のシチュエーションで、楽しく、有意義な一夜でした。関係者や演奏者の皆さんに感謝したいです。
posted by naoki at 11:01| Comment(16) | TrackBack(0) | ライヴ・リポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月13日

今日聴いたジョビン・ソングブック(15)

ボサノヴァにあふれる想い
レイラ・ピニェイロ
Leila Pinheiro
Isso É Bossa Nova
1994
レイラ・ピニェイロのボサノヴァ・アルバムとしては最も好内容。レイラの歌唱も素直で的確。メドレー内を含めて18曲中9曲がトムの曲。
5

黄昏のサウダーヂ
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ
European Jazz Trio
Saudade
2006
殺菌されたボサノヴァ。美しいピアノだが、メリハリがない。選曲が雑多なのも残念。トムの曲は14曲中6曲。
3.5

もうひとつのジョビン
アナ・カラン
Ana Caram
The Other Side of Jobim
1992
シンプルな好盤。アナ・カランの歌は「ボサノヴァはこれで充分」と感じさせる。アレンジとギターはセルジオ・アサド、ソプラノ・サックスとフルートはスティーヴ・サックス。「非有名曲を集める」という企画もこれが先駆けだった。
4.5

ジャスト・ジョビン
マンフレッド・フェスト
Manfredo Fest
Just Jobim
1998
マンフレッド・フェストの歯切れの良いタッチが小気味の良い一枚。ベースのデイヴィッド・フィンク、ドラムスのスティーヴ・デイヴィス、パーカッションのシロ・バプティスタも好サポート。遺作。
4.5

ボサノヴァ・スピリッツ
ジンボ・トリオ
Zimbo Trio
Zimbo Trio e o Tom Tributo a Tom Jobim Volume 1
1987
ブラジルではジョビン・ナンバーのみ8曲で発売されたLPに、日本ではジョビン1曲、非ジョビン3曲を加えてCDとして発売された。軽快で的確なアミルトン・ゴドイのピアノが楽しい。ベースのルイス・シャーヴィスもドラムスのフーベンス(フビーニョ)・バルゾッティも好演。
4.5

カミーニョス・クルザードス ジンボ・トリオ・インテルプレータ・トム・ジョビン
ジンボ・トリオ
Zimbo Trio
Caminhos Cruzados  Zimbo Trio Interpreta Tom Jobim
1995
上記の8年後の録音。楽曲への解釈が深まり、音数が少なくなって、非常に洗練された演奏に成長している。各曲の演奏時間こそ短いが、トムの最初期から最後期までの全19曲は聴き応えがある。
5

愛の予感
マリア・クレウーザ
Maria Creuza
Eu Sei que Vou Te Amar
1972
マリア・クレウーザのメジャー3枚目。この頃の彼女の歌はまだまだ初々しい。ヴィニシウスとトッキーニョも参加。彼女の作品の中でも上位に推したい1枚。トムの曲は12曲中6曲。
4.5

ライヴ・アット・ヴァルタン・ジャズ トゥ・ジョビン・ウィズ・ラヴ
アロイージオ・アグイアール
Aloisio Aguiar
Live at Vartan Jazz To Jobim with Love
1996
ベッコ・ダス・ガハーファスから出たピアニスト、アロイージオ・アグイアールのトリオのデンヴァー録音。トムの曲は15曲中10曲。タッチが明快な元気なピアノ。
3.5

*さてこの企画も、あと数回になると思います。

2007年08月12日

今日聴いたジョビン・ソングブック(14)

*今日は日本のミュージシャンのジョビン・トリビュートから聴き始めました。

ジョビン・マイ・ラヴ
上田力&ナンダ・ノヴァ
Chikara Ueda & Nanda Nova
Jobim My Love
2004
「ジョビン全曲演奏」という途方もないプロジェクトに取り組む上田力の遊び心いっぱいのアレンジが冴える。サウンドの中核はトロンボーンの池田雅明、リズムの基盤はドラムスの吉田和雄。強いて言えばもっといろいろなテンポの曲を織り交ぜるとメリハリが出たかと思う。ジョビン・ナンバー9曲のほかに、トムに捧げた「Jobim My Love」を収録。
4.5

ボッサ・ノスタルジア
木住野佳子
Yoshiko Kishino
Bossa Nostalgia
2006
木住野佳子のピアノのボサノヴァ・アルバム。ストリングスが入っていることもあって、良くも悪くもさらりと聴き流してしまう。トムの曲は12曲中5曲。
3

ジョビン
広瀬麻美/川島茂
Asami Hirose/Shigeru Kawashima
Jobim
2006
広瀬麻美はスタイリッシュな歌手だが、このジョビン集はもっと自然さを前に出せば良かったのにと思う。川島茂のピアノはグッド。
2

WAVE〜ジョビンへのオマージュ
長谷川陽子 福田進一
Yoko Hasegawa Shinichi Fukuda
Wave Homenagem a Jobim
2002〜2003
クラシック音楽界の長谷川陽子のチェロと福田進一のギターのデュオ。好演。ジョビン・ナンバーは14曲中8曲。セルジオ・アサド作の「Jobiniana N4」を収録。
3.5

ストーン・フラワー
山下洋輔・ミーツ・ブラジリアン・フレンズ
Yosuke Yamashita Meets Brazilian Friends
Stone Flower Homage to A.C.Jobim
1995
マウリシオ・カヒーリョ、ペドロ・アモリン、パウロ・セルジオ・サントスを加えたショーロ編成のライヴ・アルバム。山下洋輔の独自色はほとんど感じられないが、それが却って好結果に。ただ、マルコス・スザーノのパーカッションにはところどころ「違う!」と叫びたくなる。オリジナル曲「Homage to Jobim」をソロ・ピアノで収録。
3.5

ヴィラ・ロボス アントニオ・C・ジョビン
ジャン・ピエール・ザネラ
Jean Pierre Zanella
Villa-Lobos Antonio C. Jobim
2005〜2006
ケベック出身のジャン・ピエール・ザネラがアルト・サックスとソプラノ・サックスを吹くストレート・ジャズ・アルバム。やはりアドリブ全開型のジャズ・ホーン奏者にとってトムやヴィラ・ロボスの曲は難しい。退屈。トムの曲は4曲(ヴィラ・ロボスの曲が6曲)だが、トムとヴィラ・ロボスに捧げたアルバムであることは明らかなので特別にここに。
2

トム&ヴィラ
ジルソン・ペランゼッタ アルトゥル・マイア
Gilson Peranzzetta Arthur Maia
Tom & Villa
1986
名ピアニストで名アレンジャーのジルソン・ペランゼッタとウッドベースのアルトゥル・マイアの共演。「Jobinianas No.1」(テーマは「Olha Maria」)「同No.2」(テーマは「Insensatez」)「Viva Villa No.1」「同No.2」の4つの組曲で構成されているが、「Jobinianas」にヴィラ・ロボスの曲が入っていたり、「Viva Villa」にトムの曲が入っていたりして面白い。演奏も適度にクールで適度に柔らかい好内容。ソプラノ・サックスはゼー・ノゲイラ。コカ・コーラ・レーベルの非売品。ジャケットのデザインにもにやりとさせられる。
4

*ここまでで101枚になりました。

2007年08月06日

今日聴いたジョビン・ソングブック(13)

*昨日は音楽をかけながら仕事しようとしましたが、暑くてほとんど捗らずに苦労しました。

イパネマの娘
ホーザ・パッソス&ロン・カーター
Rosa Passos & Ron Carter
Entre Amigos
2002
ホーザ・パッソスが歌うトム・ジョビンは、このアルバムが断然に良い。ただしロン・カーターのベースは一部疑問。11曲中、トムの曲は7曲。
4.5

タバジャラ・プレイズ・ジョビン
オルケストラ・タバジャラ・ヂ・セヴェリーノ・アラウジョ
Orquestra Tabajara de Severino Araújo
Tabajara Plays Jobim
1995?
大御所タバジャラのビッグ・バンドのジョビン集。リズムのアクセントの位置によってこれほど違った音楽になってしまうのは面白い。
2.5

エリック・ル・ラン ジャン・マリ・エカイ プレイ・ジョビン
エリック・ル・ラン ジャン・マリ・エカイ
Eric Le Lann Jean-Marie Ecay
Eric Le Lann Jean-Marie Ecay Play Jobim
2005
エリック・ル・ランのミュート・トランペットとジャン・マリ・エカイのギターのデュオ。とても地味だが、アドリブを最小限に抑えて原曲のメロディに忠実に吹いているのが成功した名盤。ジョビン曲のほかにそれぞれのオリジナルを1曲ずつ収録。
4.5

サラヴァ・ジョビン
イリオ・ヂ・パウラ
Irio de Paula
Saravà Jobim
2000
オーケストラのアレンジが平凡なので、良くない意味でイージー・リスニングになってしまった一枚。
3

ダヴィッド・ガンク&クアルテート・ゲーハ・ペイシ・インテルプレータム・トム・ジョビン
ダヴィッド・ガンク&クアルテート・ヂ・コルダス・ゲーハ・ペイシ
David Ganc & Quarteto de Cordas Guerra-Peixe
David Ganc & Quarteto Guerra-Peixe Interpretam Tom Jobim
2003〜2004
ゲーハ・ペイシ弦楽四重奏団の見事なアンサンブルをバックに、ダヴィッド・ガンクがフルートやサックスを演奏。編曲もダヴィッド・ガンクが担当し、独自の解釈によってトムの楽曲の新たな魅力を引き出している。ヴィオラとチェロとフルートとトムの曲の相性の良さを再認識。非ジョビン曲が1曲。
5

ボサノヴァ・ナイト
サリナ・ジョーンズ
Salena Jones
Salena Sings Jobim with the Jobim’s
1994
トム、パウロ、ダニエルが参加。トムはピアノを弾き、「I Was Just One More for You」と「Girl from Ipanema」ではヴォーカルも聴かせる。編曲と演奏がすばらしい。
4

ボサ・ノヴァ
ジョン・ピザレリ
John Pizzarelli
Bossa Nova
2003
ジョン・ピザレリはジャズ・ギタリスト兼ヴォーカリスト。セーザル・カマルゴ・マリアーノとパウロ・ブラーガが参加。ヴォーカルに味がないのが残念。13曲中トムの曲は5曲。
3

リタ・ライス・シングス・アントニオ・カルロス・ジョビン
リタ・ライス
Rita Reys
Rita Reys Sings Antonio Carlos Jobim
1981
リタ・ライスはオランダのジャズ・ヴォーカル。歌も演奏も突っ込みが浅いように思う。
2

2007年08月05日

映画「ディス・イズ・ボサノヴァ」(追記)

昨日は結局、映画「ディス・イズ・ボサノヴァ」を二回観ました。

これは映画版「ボサノヴァの歴史」と言って良いと思います。こういう映画を入り口にしてボサノヴァを聴き始める人たちは幸せだと思います。

数え切れない証言の中から、改めて、特に気になること、覚えておきたいことをメモしておくことにします。

(1)冒頭でカルロス・リラが、「ボサノヴァはコパカバーナで生まれてイパネマに来た」と語る場面があります。なるほど。

(2)セルジオ・カブラルは「ブラジル音楽は1920年代の米国音楽の影響を受けている。ボサノヴァはその影響を受けている」と語っています。

(3)カルロス・リラは、ホテル・プラザにジョニー・アルフが出演していた時に、その入り口でヴォーカル・グループの練習をしていたのは、ルイス・エサとジョアン・ドナートとジョアン・ジルベルトとカルロス・リラだったと語っています。「ボサノヴァの歴史」ではその部分は、アルフ、ドナート、ジョアン、リラの4人だったとなっている(しかもカルロス・リラの言葉として)ので、この部分はフイ・カストロの間違いではないかと思います。そして4人が練習していた曲はガロートの「デュアス・コンタス」だったとのことです。

(4)僕がいちばん好きなのはビリー・ブランコが「浜辺のテレーザ」を歌うシーンで、これは泣けてしまいます。ビリー・ブランコはこの曲について、「リオデジャネイロ交響曲」のレコーディングが終わった時、ビリーとトムがスタジオにいると、ディック・ファルネイとルーシオ・アルヴィスがやって来て、ディックが二人に「僕とルーシオに曲を書いてくれよ」と言ったのだと語っています。とても貴重なエピソードです。

(5)アルトゥール・ダ・ダヴォラはホナルド・ボスコリのことを「ボサノヴァの陽気な側面を際立たせたのはボスコリだ」と語っています。

(6)マルセロ・カマラが非常に気になることを言っていました。トムとニュウトンの作品は歌詞が無韻だということです。特定の曲のことだったのかどうかは不明ですが、この表現はとても気になります。マルセロ・カマラが書いたニュウトンの伝記をもう一度ひっくり返してみなくては。

(7)ベベートによると彼はタンバ・トリオに入る時に歌を1年間練習したそうです。それは、「3人で歌うのに、4人で歌っているような印象を与える」タンバのコーラスがとても難しかったからだとのこと。そしてベベートはそれを「リザルタント・トーン(結合音)」と言っていました。これも面白いです。

(8)ホベルト・メネスカルはトムについて、「トムは「その音は間違っている」とは決して言わなかった」と語っていました。メネスカルの曲をトムが弾いて、ある部分を違う音で弾いて、「ごめんごめん、間違えた」と謝って、同じことを繰り返すうちに、メネスカルの方が「その音の方がいいね」と認めたことがあったそうです。「トムは「間違っている」とは決して言わないで、そう導くんだ」と言っていました。

(9)同じくメネスカルが語っていたトムのエピソード。ある時トムから電話があって訪ねていくと、「君のために曲を作った」と言われたそうです。それが「サーフボード」で、「トムが僕(メネスカル)のスタイルで、僕よりずっと素敵に書いた曲だ」とメネスカル。そして、「どうして僕の曲を?」とメネスカルが訊ねると、トムは「だって僕が書かなきゃ君が書いただろう?」と言ったそうです。

(10)セルジオ・カブラルは「トムが影響を受けているのはフランス人だ。ドビュッシーとラヴェルだ」とはっきりと言っていました。

(11)パウロ・ジョビンによると、トムはよくラフマニノフのピアノ協奏曲第二番を自分流に弾いていたそうです。面白い。

(12)カルロス・リラは、ボサノヴァをムーヴメントとして捉えるのには反対だ、なぜならボサノヴァは自然発生したからだと言っていました。

*上記の中では(6)がやはりとても気になります。うーむ。
posted by naoki at 16:48| Comment(165) | TrackBack(6) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

今日聴いたジョビン・ソングブック(12)

*昨日は自宅にほとんどいなかったので少ないです。Philologyレーベルの何枚かを聴きました。

パラーヴラス・ヂ・アモール ジョビン・イ・アス・ムリェーレス
エフェット・ムジカ・エンセンブレ・エンコントラ・クラウヂア・マース
Effetto Musica Ensemble Encontra Claudia Marss
Palavras de Amor Jobim e as Mulheres
2007
女性の名前をタイトルにしたトムの作品を中心に集めた、エフェット・ムジカ・エンセンブレというクインテットとクラウヂア・マースという歌手との共演。彼女の歌はクールでとても良い。ジョビンのジャズ・ヴァージョンとして極めて質の良い一枚。
4.5

オ・トム・ブラジレイロ
ルイス・リマ
Luiz Lima
O Tom Brasileiro
2005
ナタル出身のルイス・リマのギターの弾き語り。ギターは悪くないのだが、ヴォーカルが良くない。
2

ジョビン
フランコ・ダンドレア・ニュー・カルテット
Franco D’andrea New Quartet
Jobim
1997
フランコ・ダンドレアはピアニスト。アルト・サックスを加えたカルテット。音は悪くないのだが、独自性は感じられない。
3.5

ジョビン・イ・オウトロス インテルプレータ・オス・グランヂス
ネルソン・マシャード
Nelson Machado
Jobim e Outros Interpreta os Grandes
2005
ネルソン・マシャードの渋み溢れるヴィオラォンの弾き語り。トムの曲は16曲中7曲。姉妹盤の『De Letra』も好盤。
4.5

2007年08月04日

映画「ディス・イズ・ボサノヴァ」

今日封切りの映画「ディス・イズ・ボサノヴァ」(原題「Coisa Mais Linda」)を観てきました。

僕はDVDですでに観ているのですが、字幕がない状態では彼らが喋っていることの大半が理解できなかったので、今回は感激が全然違いました。すばらしかったです。このブログをお読みいただいている方はぜひご覧になることをお勧めします。

これからご覧になる方のために詳細は書きませんが、僕が非常に興味深く思ったことをいくつか書き留めておきます。

(1)アルトゥール・ダ・ダヴォラの発言で、トム・ジョビンが発見したのはブラジル音楽の枠組みを換えることだったと、少ない音数で独創的な音楽を構築したトムの作風は、オスカー・ニーマイヤーの「シンメトリーを欠いているのにとても美しい芸術」と似ているという言葉がありました。そしてそのことから、ボサノヴァは1922年のモダニズム運動の一環だと、「現代芸術週間の最後の一吹きなんだ」という解釈。これはとても興味深いです。

(2)カルロス・リラは「メキシコのボレロはサンバ・カンサォンと大いに関係がある」と語っていました。カルロス・リラはガロートからヴィオラォンを教わる一方で、アルトゥール・カストロというボレロの作曲家からもヴィオラォンを教わっていたそうです。その2つの側面がとても大事だと話していました。

(3)パウロ・ジョビンによると、トムに作曲家になりなさいと勧めたピアノ教師のルーシア・ブランコは、ピアノのタッチがすばらしくて、トムは彼女を「タッチの女王」と呼んでいたそうです。すなわち、トムのあの繊細なピアノ・タッチの師は彼女だったということです。

(4)ベベートによると、ジョアン・ジルベルトの最初のレコーディングで、出番がなくなったグアラニーがたまたま始めたカイシェッタのリズムをジョアンが気に入って、それがボサノヴァのドラムスのリズムとして定着することになったそうです。

それから今となってはドゥルヴァル・フェヘイラの証言と演奏が胸を打ちます。冥福を祈ります。

あとは、カルロス・リラがガーヴェアのベネー・ヌネスの家でホナルド・ボスコリと出会った時にボスコリに言われた言葉がすばらしい。ボスコリはこう言ったそうです。
「洗濯物を同じ袋に入れないか?」
posted by naoki at 14:57| Comment(1) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする