2009年04月29日

シコ・ブアルキとオペラ・ド・マランドロ(2)

シコ本人の1978年6月の言葉をしばらく紹介します。

「「マランドロのオペラ」のテキストは、ジョン・ゲイの「乞食のオペラ」(1728)とベルトルト・ブレヒトとクルト・ヴァイルの「三文オペラ」(1928)に基づいている。この脚本はマウリシオ・セッチ、マリエータ・セヴェーロ、ヒタ・ムルチーニョ、カルロス・グレゴリオの協力を当て込んで、ルイス・アントニオ・マルチネス・コヘアによって導き出された二つのパートのうちの一つの分析を発端としている」。

*続きます。
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2009年04月27日

4月26日に聴いたアルバム ヴィニシウス・ソングブック

ネグロ・ヂマイス・ノ・コラサォン ヴィニシウス・ヂ・モライス
ジョイス
Joyce
Negro Demais no Coração Vinicius de Moraes
1988
凡庸なアレンジの曲も中にはあるが、ジョイスの伸びやかな歌は素晴らしい。ヴィオラォン一本で歌う「Primavera」が良い。タイトルはもちろん「Samba do Bênção」(ここではカエターノとデュエットしている)の一節。
4.5

ソングブック ヴィニシウス・ヂ・モライス Vol.1
VA
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Songbook Vinicius de Moraes Volume1
1992
ルミアールの「ソングブック」シリーズの最高傑作。MPBの1ページに刻まれた貴重な1枚だと思う。トム・ジョビン、カルロス・リラ、バーデン・パウエル、トッキーニョの「四大パートナー」を初め、ヴィニシウスの不在を嘆き哀しむ名唱・名演がずらりと並んでいる。これだけの歌唱と演奏を引き出したアルミール・シェヂアックの不在もまた大変な損失だ。どの曲も素晴らしいが、クアルテート・エン・シーとジルソン・ペランゼッタの「Apelo」などは本当に胸を打つ。ほかにはトムとバンダ・ノヴァの「Chega de Saudade」がここだけで聴ける貴重なヴァージョン。
5+

ヴィニシウス・エン・シー
クアルテート・エン・シー
Quarteto em Cy
Vinicius em Cy
1993
ヴィニシウスの恩寵によって世に出たミュージシャンは数あれど、クアルテート・エン・シーは存在そのものがヴィニシウスの作品のようなグループ。彼女たちのヴィニシウス集が悪いはずがない。全体的に明るい印象の作品に仕上がっている。
4.5

ソングブック ヴィニシウス・ヂ・モライス Vol.2
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Songbook Vinicius de Moraes Volume2
1992
1枚目に比べると比較的地味な演奏・歌唱が多い中で、エドゥ・ロボの「Chora Coração」(これも伴奏はジルソン・ペランゼッタ)が良い。あとはナナ・カイミ、エルバ・ハマーリョ、ファファ・ヂ・ベレン、レニー・アンドラーヂの歌が印象に残る。
4

ミウーシャ・カンタ・ヴィニシウス&ヴィニシウス
ミウーシャ
Miúcha
Miúcha Canta Vinicius & Vinicius Música e Letra
2003
「作詞作曲ヴィニシウス」の曲のみで全体を構成。ヴィニシウス作曲の名曲は短調に集中していることを再認識。発売直後はミウーシャの明るい声がそぐわないように感じたものだが、今聴くとまったく悪くない。ベストはシコとのデュエット「Medo de Amar」。
4

ソングブック ヴィニシウス・ヂ・モライス Vol.3
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Songbook Vinicius de Moraes Volume3
1992
トムのピアノをバックにシコが歌う「Sem Você」が胸に沁みる。ヘナート・フッソがエリオ・デルミーロのヴィオラォンで歌う「Gente Humilde」も良いし、トムとガルの2曲も良い。これまた名作。
5

キ・ファルタ・ヴォセ・ミ・ファス
マリア・ベターニャ
Maria Bethânia
Que Falta Você Me Faz Músicas de Vinicius de Moraes
2003〜2004
マリア・ベターニャのこの表現力はどうだろう? 最近の彼女は発言も含めて別の次元に突入している感じがする。素晴らしい傑作。
5+

Vinicius de Moraes Trilha Sonora do Filme Vinicius
VA
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ヴィニシウス(サウンドトラック)
2004
映画「ヴィニシウス」のサウンドトラック。シコ、カエターノ、エドゥ、マリア・ベターニャなどに若手の演奏をまじえている。Hさんのお勧めのモニカ・サルマーゾが2曲歌っている。
4

ジョビン、ヴィニシウスを歌う
アントニオ・カルロス・ジョビン
Antonio Carlos Jobim
Tom Canta Vinicius
1990
ヴィニシウスを追悼するメモリアル・ライヴの録音。冒頭の「Soneto da Separação」からしてただならぬ雰囲気。全体を覆う静けさからヴィニシウスを悼むトムの心情が伝わってくる。こういう感じが味わえるトムの録音はこのアルバムだけだ。選曲も抜群。普段あまり語られることのないトムとバンダ・ノヴァ・マイナス・リズムの傑作の一枚。「Eu Não Existo sem Você」の歌詞を変えているところなどは泣けてしまう。
5+

映画「ヴィニシウス 愛とボサノヴァの日々」を封切りの初日に観に行って、ヴィニシウスのことがずっと心にあったので、昨日は1日ヴィニシウス集を聴いて過ごしました。ヴィニシウスを知る人が彼について語ったり歌ったりする時、どうしてこうもサウダーヂが滲み出てくるのでしょう? 上記はいずれもぜひ聴いていただきたい名盤です。

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2009年04月25日

オスカー・カストロ・ネヴィスが語ったこと

来日中のオスカー・カストロ・ネヴィスの記者会見・カクテルパーティに行ってきました。アイルト・モレイラ、レイラ・ピニェイロ、パウロ・カラザンス、マルセロ・マリアーノと、来週ブルーノート東京でライヴがあります。

オスカー・カストロ・ネヴィスとちょっとだけ話ができました。僕がトム・ジョビンの本を書いていると言うと、彼は非常に驚いて、トムの思い出を話してくれました。亡くなった時はちょうど「次一緒にアルバムを作ろう」と話していたところだったとのこと。「I miss him」と何度も何度も言っていました。あとはレイラ・ピニェイロにも、ファースト・アルバムのトムとのレコーディングの思い出話がちょっとだけ聴けました。

ライヴは4月26日から5月1日まで。ライヴレコーディングも予定されているとのことです。

http://www.bluenote.co.jp/jp/sp/274.html
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2009年04月12日

シコ・ブアルキとオペラ・ド・マランドロ(1)

「オペラ・ド・マランドロ」が日本で上演されることになって、Eメールで質問もいただいたので、シコ・ブアルキと「オペラ・ド・マランドロ」についてぼちぼちと書いていこうかと思っています。これを機会にこの国でもシコがあともうちょっと取り上げられるようにならないだろうかと期待を込めて……。まあいつものようにぼちぼちと。

「オペラ・ド・マランドロ」は、ジョン・ゲイの「乞食オペラ(ベガーズ・オペラ)The Beggar's Opera」(1728年)と、ベルトルト・ブレヒトとクルト・ヴァイルの「三文オペラ(ディ・ドライグロシェノパー)Die Dreigroschenoper」(1928年)をベースにして書かれたシコの初めてのオペラです。1978年7月にリオデジャネイロで上演され、1979年10月にサンパウロで再演されました。演出はルイス・アントニオ・マルティネス・コヘアです。

この1978年という年は、ブラジルの政治的状況が劇的に改善された年でした。この年に録音された『シコ・ブアルキChico Buarque』(シコはこれまでに自分の名前のみのシンプルなタイトルのアルバムを3枚残していますが(そのどれもが極上の名盤ですが)、この78年録音がその1枚目でした)に収録された「カリシ」と「アペザール・ヂ・ヴォセ」こそは、それまで検閲に引っ掛かっていて録音が発表できないでいた、軍政下の「闘争するシコ」の象徴的な曲でした。ですから「オペラ・ド・マランドロ」は、書かれたのは前年の77年ではありますが、シコが自由に表現できる喜びを獲得した直後の、最初の仕事の一つと捉えることができると思います。

*続く。

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2009年04月09日

シコのオペラ・ド・マランドロの日本版

シコ・ブアルキの「オペラ・ド・マランドロ」の日本版が上演されるとのこと。驚きました。アトリエ・ダンカンの企画制作で、東京では7月25日から8月2日までというスケジュールです。マックス役は別所哲也さん。http://www.duncan.co.jp/web/stage/malandoro/top.html

過去に日本では1990年に宮本亜門さんの演出で上演されたことがありました。しかしあの雰囲気を日本人の演出で日本人が演じるのはずいぶん難しいと思います。今回はお手並みを拝見したいです。

これに合わせてシコが来日ということには…ならないでしょうね…。

posted by naoki at 07:35| Comment(1) | シコ・ブアルキのこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする