2011年04月03日

レッド・ガーランド「スプリング・ウィル・ビー・ア・リトル・レイト・ディス・イヤーSpring Will Be a Little Late This Year」

井の頭公園の近くに住んでいると、1年の節目は正月よりもむしろ桜の季節で、この季節を迎えてようやく去年のことが整理できて今年のことが計画できるというところがある。ただし今年は公園中に「宴会の自粛のお願い」の貼り紙が貼られていて、人出はとても少ない。まあまだ三分咲きくらいということも一因ではある。しかし「自粛をお願いします」という日本語はどうだろう? 「自粛」というのは自ら慎むということだ。「宴会は慎んで下さい」とどうして書かないのだろう? その是非はともかくとして。

今日の昼間はレッド・ガーランドを聴いていた。レッド・ガーランドのトリオ・アルバムの中で人気盤を挙げるとすれば、この国ではおそらくは、(1)『グルーヴィーGroovy』、(2)『レッド・ガーランズ・ピアノRed Garland’s Piano』、(3)『アット・ザ・プレリュードAt the Prelude』の3枚が上位に来るに違いない。少なくとも20年前はそうだった。どれも良いアルバムだと思う。

けれども僕の選択はまったく異なっていて、(1)『オール・カインズ・オヴ・ウェザーAll Kinds of Weather』、(2)『ホェン・ゼア・アー・グレイ・スカイズWhen There Are Grey Skies』、(3)『ブライト・アンド・ブリージィーBright and Breezy』ということになってしまう。なぜか? その話はいずれまた。まあ要するに愛着ということなのだが。

それにしても、『オール・カインズ・オヴ・ウェザーAll Kinds of Weather』の魅力は筆舌に尽くし難い。A面冒頭で突然に夕立を降らせて(「Rain」)、真夏の南部の眠りに誘い(「Summeretime」)、今度は嵐に閉じ込める(「Stormy Weather」)。B面は春が来るとか来ないとかの季節に始まって(「Spring Will Be a Little Late This Year」)、いきなりクリスマスに連れて行き(「Winter Wonderland」)、秋の美を端正に歌って締め括る(「‘Tis Autumn」)。レッド・ガーランドは一定したリラックスを保ちながら演奏していて、「カクテル・ピアニスト」(この場合は「誉め」言葉だ)の面目躍如といったところ。僕はこのアルバムを聴き込まなかったらレッド・ガーランドというピアニストのことを表面的にしか捉えていなかったと思う。ジャズをあまり聴き込んでいない人(=頭の柔らかい人)にこそお薦めしたい1枚だ。

この日、僕たちは夕方から井の頭公園を歩いて、それからハーモニカ横丁へ。吉祥寺仲間の武田和命さんの奥さんがいる店に行ってちょっとだけ飲む。僕たちは時々彼女の顔を見に行ってはちょっとだけ喋ってワインを飲むことにしている。良い1日。でも心は晴れない。

東京はずいぶん暖かくなった。東北はどうだろう。今年の春はちょっと遅いかもしれない。でも、春は来る。どのような形であれ。それで「スプリング・ウィル・ビー・ア・リトル・レイト・ディス・イヤーSpring Will Be a Little Late This Year」。来週は東北に行く。

posted by naoki at 04:49| Comment(0) | 今日の1曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする