2009年12月01日

ヴィラ=ロボス記念 クリスティーナ・オルティス ピアノリサイタル

*大変ご無沙汰しています。この数カ月本当にいろいろなことがあって、このブログは正直、あと回しになってしまっていました。ぼちぼちと書き始めていこうかと思います。

*僕のささやかな自慢の一つはレヴィ=ストロースと誕生日が同じことでした。もちろん歳は全然違います(当たり前だ)。大学の講義で「悲しき熱帯」を読んでいなかったら、僕とブラジル音楽との関係は今とはちょっと異なっていたかもしれません。いつかインタヴューできればと思っていたのですが、叶わない夢になってしまいました。ご冥福をお祈りします。


今夜は日本大学カザルスホールに、「ヴィラ=ロボス記念 クリスティーナ・オルティス ピアノリサイタル」を聴きに行ってきました。ロンドン在住のブラジル人ピアニスト、クリスティーナ・オルティス(日本語ではクリスティーナ・オルティーズと表記されています)のソロのリサイタルです。

第一部はドビュッシーのピアノ曲から、「ベルガマスク組曲」(全4曲)、「二つのアラベスク」、「版画」(全3曲)、「喜びの島」。出足はちょっと堅い感じもありましたが、「ベルガマスク組曲」の「月の光」あたりから良く歌い始めて、オーソドックスながらも緻密で流麗な見事なドビュッシーを聴かせてくれました。特に最後の「喜びの島」は、相当な難曲だと思うのですが、非常に完成度の高い演奏でした。

休憩を挟んで第二部が、ヴィラ=ロボスの作品の演奏でした。

1曲目は「ショーロス第5番 ブラジルの魂」。ブラジリダーヂいっぱいの美しいメロディが、右手と左手がちょっとずれた感じの独特のリズムに載って流れていきます。前半のドビュッシーの演奏に比べると意外なほど情感が込められた演奏で、このピアニストの印象ががらりと変わってしまいました。中盤はドラマティックに盛り上がって、終盤はやはり哀感たっぷりの演奏。素晴らしかったのですが、曲が終わっても拍手が起こらなかったのは、次の「赤ちゃんの家族」の一部と勘違いされていたからかもしれません。

2曲目がこの夜のリサイタルの核に当たる「赤ちゃんの家族」(全8曲)。タイトルとは裏腹に、牧歌的な感じはほとんどなく、不協和音を多用した不穏な曲想が、美しいメロディを随所に織り挟みながら繰り広げられていきます。

そして1曲、2曲と進むうちに、前半で演奏されたドビュッシーとの共通が明らかになっていきます。この日の演奏曲目がどのようにして決定されたのかは定かではありませんが、ドビュッシーからヴィラ=ロボスへと連綿と受け継がれている音楽性を浮き彫りにする選曲だったと思います。楽曲として面白かったのは最後の第8曲の「道化人形」で「ラ・マルセイエーズ」を盛り込んでいるところでした。

次はフランスふうのメロディが美しい「苦悩のワルツ」。これまた実に感情的かつ感傷的な演奏でした。でもこれが良かった。ヴィラ=ロボスの、そしてクリスティーナ・オルティスの真骨頂だったと思います。

ラストは「奥地の祭り」。ピアノという楽器を充分に鳴らした力強い曲。ヴィラ=ロボスの曲はともするとあざとい感じがするくらいに「盛り上げ方」が教科書的なのですが、隅々まで実に丁寧に演奏するこのピアニストには本当に好感が持てました。最後の最後も本当に堪能しました。

クリスティーナ本人にとっても快心の演奏だったようで、曲が終わった時の姿勢や表情にそのことが良く表われていました。アンコールは実に4回。このように感動的なコンサートに立ち会えたことを嬉しく思うと同時に、関係各位にお礼をお伝えしたいです。ありがとうございました。

posted by naoki at 23:51| Comment(0) | ライヴ・リポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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