2007年06月09日

マチータ・ペレーが生まれたところ

昨日・一昨日と四国にいました。木曜日は高知空港に降りて、レンタカーで中村(現四万十市)へ。そこで一つ仕事をして、宇和島を経由して松山へ。この中村から宇和島への道が、仕事中の移動とは言え、忘れられないドライヴになりました。

四万十川の流れに沿って、国道441号線を上っていくルートです。国道とは言え、ほとんどが1.5車線くらいの道幅で、離合(擦れ違い)の時には一方が相手を通せるところまでバックして待機します。四万十川には沈下橋という橋がたくさん架かっていて、途中2箇所だけ立ち寄って車で渡ってみました(怖かった)。四万十川は初めて見ましたが、さすがに、満々と水を湛えたすばらしい川でした。急いでいたのでのんびりはできなかったのですが、ぜひいつかまた訪ねてみたいと思いました。日本の中でも秘境中の秘境だと思います。以前にジャマイカで知り合った人の好い夫婦がこのあたりの出身だったことを思い出しました。

さて、僕は外にいる時にはまったく音楽を聴かないのですが(携帯用音楽再生機は持ったことがありません)、車に乗る時にはCDを2・3枚持参します。で、この日はたまたまトム・ジョビンの『マチータ・ペレー』を持って来ていたので、この四万十川を登る時にそれを掛けて、聴きながら運転していました。そして何だかこのアルバムの本質に近づくことができたように思いました。

人間が分け入らない奥深い森林。新緑から真緑に移っていく季節。鳥の声。かじかがえるの声。青の濃い空。四万十川の神々しい流れ。そしてそういう高知の奥地に『マチータ・ペレー』はぴったりでした。何だかまるでポッソフンドを疑似体験しているような気分になりました。『マチータ・ペレー』は……「三月の水」は……こういうところで生まれたのだなあと、そう思いました。アナ・ジョビンのあの写真(「三月の水が生まれたところ」をご参照ください)にそっくりな風景が現われた錯覚にも陥りました。

以前から僕は『マチータ・ペレー』を特別な一枚だと思っているのですが、このアルバムは本当に、森と、緑と、川と、水と、鳥から生まれた「めぐみ」のアルバムなのだと、改めて認識を深めた次第です。

最近仕事のことで落ち込むことが多いのですが、今回はとても良い旅でした。
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2006年09月18日

「ディスコ・ヂ・ボルソ」3

「三月の水」の「ディスコ・ヂ・ボルソ」の冊子の画像、これが最後です。


奥付

冊子の奥付に当たる部分。ディレクターはセルジオ・ヒカルドとルイス・カルロス・ブラーヴォ、音楽ディレクターがセルジオ・ヒカルド、美術ディレクターがカルロス・プロスペリ、プロデューサーがエドゥアルド・アセヂ。


裏表紙広告

裏表紙(表4)にムタンチスの広告を載せていて、時代を感じさせます。


レコード

そしてこれが肝心のレコードです。
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2006年09月17日

「ディスコ・ヂ・ボルソ」2

昨日に続いて「三月の水」のオリジナル・フォーマット、「ディスコ・ヂ・ボルソ」の冊子を画像で紹介します。


歌詞と楽譜

「三月の水」の歌詞と楽譜が掲載されています。



レコード袋1

レコードそのものは冊子の中央に綴じられているこういう袋に入っています。



レコード袋2

レコードの袋の裏側です。デザインが秀逸です。



ノエル・ホーザ

ノエル・ホーザについてセルジオ・カブラルが一文を寄せています。



*続きはまた投稿します。
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2006年09月16日

「ディスコ・ヂ・ボルソ」1

本当にサボってばかりで申し訳ありません。ぼちぼちと再開します。

まずは以前から紹介している「三月の水」のオリジナル・フォーマット、「ディスコ・ヂ・ボルソ」の冊子を画像で紹介します(うまくいくかどうか…)。



カヴァー

これがカヴァーです。



漫画

ページをめくるとこういう漫画があります。



トムについて1





トムについて2

トム・ジョビンについてのエッセイです。トムの言葉は今度訳して紹介するつもりです。



*後半はまた別途投稿します。


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2006年08月18日

「三月の水」オリジナル盤について(3)

*諸般の事情によりしばらく休んでしまいましたが、またぼちぼちと書いていくことにします。

 「ディスコ・ヂ・ボルソ」の「三月の水」の冊子。冒頭の1ページから2ページにかけては、セルジオ・ヒカルドがこの企画の趣旨を説明する「ディスコ・ヂ・ボルソとは何か?」という文章が掲載されています。表現が大げさで、比喩も多く、何を言っているのかわからない部分も少なくないのですが、だいたい次のようなことを語っています。

 ムジカ・ポプラル・ブラジレイラのアーティストは、自分の音楽を録音してくれるレコード会社を探している。レコード会社が投資するためにはマーケット・リサーチが必要だが、まだ録音の機会に恵まれないアーティストには、リサーチの材料さえない。ラジオやテレヴィでの演奏も、番組の数が限られている上に、視聴率や検閲の問題もあるのでままならない。この「ディスコ・ヂ・ボルソ」は、そういう悪循環を断ち切るものである。

「この我々のレコードは売り場に直接並んで、仲介者の気遣いによって流通される必要はない。大衆は最良のものを、より先進の、より大胆な、ムジカ・ポプラル・ブラジレイラの人物が作り出す新しい騒動を受け取ることになる」

 そして、アーティストの選定についてはこう述べています。

「片面には我々の音楽の尊敬を集めているビッグネームを録音する。手始めは、カルリーニョス・ヂ・オリヴェイラが「ナンバーワン・フェスティヴァル・ブラジレイロ・ヂ・アルメイダ」と呼ぶアントニオ・カルロス・ジョビン(我々の謙遜をお許しいただきたい)。今では世界中で大ヒットしようとしている少年である」。

 そして、もう片面には、彼らのチームが推薦する新人を紹介すると書いています。この第1号ではジョアン・ボスコです。

 もう一つ、興味深い記述があります。それは音作りに関する記述です。

「テクノロジックな仕上げの過度の味付けをしないで、アーティストのより自然なサウンドを引き出している。「ディスコ・ヂ・ボルソ」は、アセヂが語っているように、16チャンネルではない」

 おそらく予算もなかったのでしょうけれど、それを逆手にとって自然なサウンドを売り物にするあたりはさすがです。実際にこのトム・ジョビンのトラックはとてもダイレクトな、装飾のほとんどない直球勝負のサウンドで、これはジョアン・ジルベルトの録音にも影響を与えていると思います。

(続きます)
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2006年08月09日

「三月の水」オリジナル盤について(2)

この「ディスコ・ヂ・ボルソ」の「三月の水」号は表周りを除いて全部で16ページの冊子です。サイズは22センチ四方。レコードそのものは17.5センチの7インチ盤です(33回転です)。

僕は今までこの「ディスコ・ヂ・ボルソ」を独立した雑誌なのかと思っていました。その中にレコードが付録として付いているのかと。でもそれは誤りでした。これはあくまでもレコードを中心に作られている冊子です。誌面の多くの部分が収録曲に関することで占められています。

(不定期的に続きます)
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2006年08月08日

「三月の水」オリジナル盤について(1)

アントニオ・カルロス・ジョビンが演奏する「三月の水Águas de março」のオリジナル・フォーマット「ディスコ・ヂ・ボルソDISCO DE BOLSO」を、最近入手しました。

このレコード、以前から手に入れてはいたのですが、それはジャケットがオリジナルのものをコンパクトな形に手で切り貼りしたものだったようです。想像するに、放送局その他で、シングルレコード・サイズにして棚に収納するためにそうしたものだったのではないかと思います(それにしては良くできているので、もともとこの大きさの商品だったのかと思ってしまっていました)。

さて、そのオリジナル・フォーマットですが、「こういうものだったのか!」とやっとわかって、非常に面白いです。一度ではちょっと手に余るので、ぼちぼちと紹介していくことにします。

僕はたまたま「三月の水」というタイトルの本まで書くことになってしまった(「しまった」ということもないのだけれど)人間なので、この曲に関しては知り得るかぎりのことをお伝えしていかなくてはならないと思っています。

ところでこのレコード、カリフォルニアの中古レコード商から米ドルでたったの9ドルで買いました(送料を除く)。
posted by naoki at 02:41| Comment(10) | TrackBack(0) | 「三月の水」について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする