2006年04月22日

『アローン・トゥゲザー』ジム・ホール ロン・カーター

四月になると聴きたくなるレコードです。もちろん個人的な思い入れなのですが。その昔アルバイトしていたジャズ喫茶で、レコード係としていちばん手を伸ばしやすい位置の棚にこのレコードがありました。それでよくターンテーブルに載せるようになりました。

僕が持っているLPはもうぼろぼろなのですが、一応、ジム・ホールとロン・カーターの二人からジャケットにサインをもらっています。あれはブルーノート東京でのデュオだったでしょうか? その茶目気あふれたサインをここではお見せできないのがちょっと残念です。

モダン・ジャズもずいぶんと聴きましたが、こういう演奏をいちばん好んでいるように思います。歴史的名演とか評論家が推薦するレコードではないのですが、夜中に目が覚めてふと聴きたくなるレコードです。高級な装置の大音量ではなく、我が家の貧弱なステレオセットの小さな音量で(相方を起こさないように)聴きたいと思うレコードです。

どの曲も懐かしいのですが、やはり、A面ラストの「四月の思い出」がベストです。
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2006年03月15日

『ボサノヴァ』ジョン・ピザレリ

ジョン・ピザレリというジャズ・ギタリスト兼ヴォーカリストのことは良く知りません。このアルバムを聴くかぎりでは、ヴォーカルは可もなく不可もなくです。ジャズ・シンガーがボサノヴァを歌うとどうしても「歌い上げる」感じになってしまっておののいてしまうことが多いのですが、そういうタイプの歌手ではないので、そういう意味ではボサノヴァ向きと言えるかもしれません。

このアルバム、ジョアン・ジルベルトに捧げたアルバムなのだそうです。なるほど、ジョビン作品(「ワン・ノート・サンバ」「イパネマの娘」「デサフィナード」「ソ・ダンソ・サンバ」「三月の雨」)に加えて、「エスターテ」なども歌っています。

それから特筆すべきは、パウロ・ブラーガが全編にわたって参加していたり、セーザル・カマルゴ・マリアーノが二曲に参加していたり、ダニエル・ジョビンが一曲ヴォーカルで参加していたりすること。アレンジはドン・セベスキーです。
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2005年10月29日

『男が女を愛する時』ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ

*今日は一日仕事で茨城県にいました。北関東は少しずつ秋から冬の気配を滲ませつつあります。

「好きなピアニストは?」と訊かれると、いつもとても迷うのですけれど、ブラジル音楽、ジャズ、クラシックを通じて、もしかしたらこれほど長年愛聴しているピアニストはいないかもしれないと思う。それが、ルイス・ヴァン・ダイクです。

大方のジャズ・ファンと同じように、彼のピアノに初めて触れたのは、こちらも僕の最愛のヴォーカリストの一人、アン・バートンの『ブルー・バートン』『バラッド&バートン』によってでした。

「ゴー・アウェイ・リトル・ボーイ」「バン・バン」「サニー」……どれを取っても懐かしいです。それからは、ことあるごとにルイス・ヴァン・ダイクのLPを買い漁るようになりました。

もともと日本でLPとして出ていたのは、この『when a man loves a woman』だけだったと思います。そしてこれが本当にすばらしい出来だった。聴き慣れていたビートルズ・ナンバーや「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」や「青い影」や「ワンス・アポン・ア・サマータイム」が、新しい光を得て輝き始めたように感じたものです。

でも別に、とりたてて変わった演奏ではないのです。全然奇をてらっていない。それぞれの楽曲をかなりストレートに、そして、丁寧すぎるくらいに丁寧に弾いている。それだけです。タッチはどこまでも軽快で、ころころと良く弾みます。そして絶妙のタイム感覚。でも聴きようによっては、こんなのイージーリスニングじゃないかと言う人もいるかもしれない。

そういう意味では、1980年代以降に発売された彼のアルバムには、ちょっと、うーん、どうなのかなあと思うものもあります。もともとちゃんとしたオリジナリティを持っている人なのですから、まっすぐに弾き続けて欲しかったと、僕なんかは思ってしまうのですけれども。

しかし、こういうピアニストを好んで聴いているのは世間広しと言えども僕だけだろうと思っていたら、この5年くらい、何かにつけて話題に上っているようで、嬉しさと淋しさが入り混じった複雑な心境です。

ルイス・ヴァン・ダイク。ぜひとも名前を覚えていただいて、機会があれば耳を傾けていただきたいピアニストです。
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2005年10月21日

エヴァンス・プレイズ・ジョビン(アゲイン)

*アルバート・フィーニーってだんだんジョビン顔になってきたなと思うのは僕だけでしょうか?

じゅんさんからいただいたEメールに、「そう言えば(ビル・エヴァンスは)『Intermodulation』で「Jazz Samba」ってやってますね」とあって、「そんなのあったかな?」とちょっと気になりながらもそのままにしていたのですが、今夜ようやくレコードを引っ張り出して聴きました。

米国では「ジャズ・サンバ」という曲名は「ソ・ダンソ・サンバ」の英訳として使われることが多いのですけれど、これは「ソ・ダンソ・サンバ」とはまったく別の曲。まるで「ラヴ・フォー・セイル」を裏・裏で演奏したような楽想の曲です。そして、作者としてクラウス・オガーマンの名前がクレジットされています。

想像するに、オガーマンがトム・ジョビンとの共演にインスピレイションを得て作った曲なのではないかと思います。ちょっと検索してみたかぎりでは、オガーマンの「ジャズ・サンバ」という曲はほかに演奏は発見できませんでした。もしかしたら完成させるにはエヴァンスのリトル・ヘルプを得ているのかもしれません。面白いなあ。オガーマンを間に挟んで、トム・ジョビンとビル・エヴァンスが繋がっていたような気がします。
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2005年10月16日

エヴァンス・プレイズ・ジョビン

*luzazulさんのblogで教えていただいて、三鷹市の国立天文台の特別公開に行って来ました。非常に興味深かったです。しかしどういうわけだか見学後にぐったりと疲れてしまった。あの広大な敷地には何だか特別な重力が掛かっているような気がします。

ちょっと昨日の話の続きです。僕は昔から「エヴァンスってジョビンを演奏しないよなあ」と思っていたのですが、今日、レコード棚を引っ繰り返していて大変な発見をしました(あくまでも僕にとっては「大変な」という意味ですが)。

74〜75年録音の『エロクエンスEloquence』の曲目の作者に、アントニオ・カルロス・ジョビンの名前がありました。演奏しているのは、「サウダーヂ・ド・ブラジルSaudade do Brasil」という曲。早速聴いてみると、これは『ウルブUrubu』に入っている「サウダーヂ・ド・ブラジルSaudade do Brasil」ではなくて、『マチータ・ペレーMatita perê』に入っている「ショーラ・コラサォンChora coração」でした。

こんなにマイナーな曲を演奏するなんて、なんだ、エヴァンス、ちゃんとトム・ジョビンを聴いていたんじゃないの。ほとんど演奏しなかったのは、エヴァンスの嗜好とトムの楽曲の構造とが異なっていたからでしょうか? それとも何かほかの理由によるのでしょうか?

しかしこのエヴァンスの「サウダーヂ・ド・ブラジル」すなわち「ショーラ・コラサォン」、気合の入ったすばらしい演奏です。エディ・ゴメスとのデュオで、半分はエレクトリック・ピアノを弾いているのですが、リヴァーサイドの全盛時代を思わせるような、めくるめく起伏のある熱演。こういう演奏を聴いていると、次から次へと聴きたいレコードを思い出してしまって、秋の夜もあっと言う間に更けていってしまいます。

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2005年09月21日

『ザ・ジェリー・マリガン・カルテット』

長谷川久さんにコメントをいただいて、ジェリー・マリガンの有名なピアノレス・カルテットを聴いています。ジョアン・ジルベルトのお気に入りだったそうで。

チェット・ベイカーのフレージングももちろんそうですが、トータルのサウンドと言うか、コンセプトと言うか、もっと言うと音楽する姿勢などに、ジョアンは共感したのかもしれないなどと想像します。あくまでも想像でしかありませんが。非常にintimateで、ジョアンに通じるものがあるのではと思います。

録音は1952−53年。ジョアン・ジルベルトはガロートス・ダ・ルアをやめて最初のソロ・レコードを吹き込んだ頃です。
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2005年09月17日

ジェリー・マリガン『ナイト・ライツ』

長谷川久さんのウェブサイト「ボサノヴァ研究室」のBBSで話題になっている、ジェリー・マリガンの『ナイト・ライツ』を、久し振りにターンテーブルに載せて聴いています。懐かしい。

モダン・ジャズの数あるレコードの中でも、隅から隅まで良く聴いた一枚です。B面1曲目のショパンの「プレリュード・イン・Eマイナー」は、ジャズ喫茶でアルバイトしていた20数年前、FM東京のジャズ番組のテーマ曲としても流れていたので(アスペクト・イン・ジャズ!)、このレコードのリクエストも多かったのでした。

マリガンがこの曲を録音したのは、トム・ジョビンの「insensatez」をこの曲の盗作だろう?と揶揄したかったかららしいのですが、別に取り立てて騒ぐほどには似ていません。

マリガンとトム・ジョビンについては、アルミール・シェヂアッキが編集したジョビンの楽譜集「ソングブック」第一巻に載っている一枚の写真が興味深いです。左から、トム、キャノンボール・アダレイ、ジュディ・ホリデイ、ジェリー・マリガンが写っています。

『ナイト・ライツ』の話に戻ると、A面「ナイト・ライツ」「モーニング・オヴ・ザ・カーニヴァル」「ウィー・スモール・アワーズ」、B面「プレリュード・イン・Eマイナー」「フェスティヴァル・マイナー」「テル・ミー・ホェン」と、一曲も駄曲がない。特にタイトル曲と、フランク・シナトラやアン・バートンの歌唱で有名な「ウィー・スモール・アワーズ」が印象深いです。
posted by naoki at 01:23| Comment(17) | TrackBack(0) | ウン・ポコ・ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする