2006年02月17日

梅津和時さんのこと

今夜は横浜で写真家の板垣真理子さんの写真展オープニングパーティ。ゲスト演奏はアルトサックスの梅津和時さん。終了後、梅津さん、板垣さん、編集の春日さん、うちの相方と、中華街で夕食。楽しい夜でした。

梅津さんの演奏は、音楽の分野のどうこうを飛び越えて、その空間に居合わせた人たちの心を震わせました。ひたすらにピュアで、涙と笑いのある音で、久し振りに本物の音楽を聴いたなあという夜でした。

ところでうちの相方は大昔にロック雑誌の編集者時代に梅津さんにインタヴューしたことがあって、その時なんと、録音したはずのテープレコーダーに何も録音されていなくて、再取材を申し込んだら快諾していただいて、それを切っ掛けに公私にわたって可愛がっていただいているという関係です。なんという心の広い方なのだろう……。

そして、僕のジョビン本を送ったものだから、梅津さん、「ジョビンを3、4枚買って聴いたよ」とおっしゃっていました。その話はいずれまた。
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2005年12月29日

上田力さんとお会いして(3)

さて、その時からは、上田さんとナンダノヴァの「ジョビン・マイ・ラヴ」の都内のライヴには必ずお邪魔させていただいています。セミナーやパーティにも声を掛けていただいて、いつもいつもいろいろなことを教えていただいています。

最近上田さんが良くおっしゃるのは、「アイディアとセンス」ということです。編曲にはこれが不可欠だと強調なさっています。しかしこういうことがはっきりと言える人は、日本には上田さん以外にいないように思います。

ところで上田さんと交わした会話の中でいちばん印象に残っているのは、「右手が弾けなくなったピアニストの話」です(もしかしたら左手だったかもしれません。記憶が曖昧で申し訳ありません)。

上田さんがたまたま観ていたテレビ番組で、病気か何かの理由で右手が使えなくなったクラシックのピアニストが取り上げられていたそうです。そのピアニストは、左手だけで弾くために書かれているごく僅かな楽曲を探し出しては演奏しているという話です。ちょっと聞くと美談なのですが、上田さんは、一刀両断にこうおっしゃっていました。

「クラシックの演奏家というのは駄目だなあとつくづく思ったよ。だって、そんな曲、なければ自分で作ればいいじゃないか?」

僕は、あっと息を呑みました。本当にそうだと思いました。これだ!と思った瞬間でした。

それとは別の機会に上田さんがおっしゃっていた「自分が本当に聴きたい音楽を演奏している音楽家がほかにいないから、自分で演奏しているんだよ」という話もほぼ同じです。僕はそのお考えには本当に共感します。結局、僕がトム・ジョビンの本を書いたのも、「ボサノヴァの歴史」や「アントニオ・カルロス・ジョビン ボサノヴァを創った男」を読んでしまうと、日本語で読めるものがほかに残っていないというのが大きな理由でした。だったら自分で書いてしまおうと、極端に言うとそれが動機でした。

「演奏する曲がないのなら自分で創り出せばいいじゃないか?」。これは、生き方として、あるいは仕事の仕方として、あるいは生活の仕方として、さまざまなものごとに当てはめることができる一つの哲学だと思います。そしてそれはクリエイティヴィティの本質でもあるように思います。人生を自分でデザインしていくということ。僕もできればそういう風に生きていきたい。上田力さんという人は、そういう本質的なことを教えてくれる音楽家です。

上田さんが取り組んでいる「アントニオ・カルロス・ジョビンの全曲演奏」という途方もないプロジェクトの旅はまだまだ続きます。この前お会いした時には、「来年はちょっと、「なぜ今ジョビンなのか?」ということを語っていこうと思うんだ」とおっしゃっていました。80歳を迎えられてますます意欲的。来年のお仕事が楽しみです。

*上田さんのことはまた随時、思い出したことを書きますが、とりあえずここまでにします。
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2005年12月28日

上田力さんとお会いして(2)

さて、上田さんと最初に夕食をご一緒した時の話です。

一杯目の生ビールも空かないうちに、「君のあの本は良かったよ」とお褒めをいただいたので、とても驚いてしまいました。さらに「すごく良いと思った箇所があるんだけど、どこだと思う?」と訊かれて首を傾げてしまいました。そして答えを聞いてさらに驚いてしまいました。

上田さんは「まえがき」が良かったと言うのです。

『(僕は)正直に言ってMPBのファンではない。ミルトン・ナシメントも聴かないし、カエターノ・ヴェローゾも聴かない。突き詰めて言うとボサノヴァのファンでさえないかもしれない。ただ、トム・ジョビンとジョアン・ジルベルトとヴィニシウス・ヂ・モライスを中心とする一部の真に個性的で創造的なミュージシャンの音楽をどうしようもなく愛しているだけである』

その箇所を上田さんは半分くらい諳んじてくださって、「良くぞ書いた」とおっしゃってくださいました。

実はその箇所は僕はちょっと迷いながら書いたのです。校正でも何度も削ろうかなと思っていた箇所だったのです。でもそれはあの本のアイデンティティに関わる箇所だったのでそのまま残すことにしたのでした。だからあの本の中で一箇所褒められて嬉しい箇所があるとするとその箇所だったのです。

上田さんからまさしくその部分を褒められて、僕は本当に驚いてしまいました。そして、改めて、正直に書いて良かったな、正直に書くというのは大切なことだなと思ったものでした。

*今夜はもう眠いので、続きはまた明日書きます。

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2005年11月11日

板垣真理子さんの出版記念パーティ

今夜は新宿DUGで板垣真理子さんの新刊の出版記念パーティ。大変な盛会でした。

この新刊、僕にとっても感慨深い事情があります。

昨年のジョアン・ジルベルトの東京初日の国際フォーラムで、コンサート終了後にうちの相方が板垣さんと十何年ぶりにばったり会いました。板垣さんはジョアンのコンサートのプログラムに文章と写真を寄せていて、この夜はジョアンのステージ写真を撮るために来ていたのでした。

その場に居合わせたのが、僕のアントニオ・カルロス・ジョビン・ブック(「三月の水」と「愛と微笑みと花」)でお世話になった彩流社の営業・編集の春日さんでした。「愛と微笑みと花」のチラシを会場に置かせていただくために来ていたのです。

早速4人で数寄屋橋のニュー東京に遅い夕食を食べに行きました。そして、その夜の出会いが縁となって、板垣さんの新刊が彩流社から出ることになったわけです。

だからこれはジョアン・ジルベルトとトム・ジョビンのア・リトル・ヘルプを得ての発刊ということになるのではないかと思います。

さて、板垣さんの新刊のタイトルは、「スプーン曲げに夢中」。今日のパーティの後半は出席者全員で大スプーン曲げ大会。僕と相方はなかなか曲がらなかったのですが、ナナ・カイミがかかったところで二人とも曲がりました。うーん、どうもやはりその手の重力が働いているような気がします。
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2005年11月05日

上田力さんの80歳誕生パーティ

今夜は上田力さんの80歳誕生パーティにお声をかけていただき、先ほどまでお邪魔してきました。

何しろ僕の約2倍の年月を生きていらっしゃるわけで、一言一言にものすごくたくさんのことが凝縮されていて、底知れぬ深さがあります。今夜は、ボブ・ジェームス、ミシェル・カミーロ、スティーヴ・ガッド、ゴンサロ・ルバルカバほか、上田さんと親交のあるミュージシャンのエピソードをお腹一敗聞かせていただきました。

上田さん、お誕生日おめでとうございます。「クリエイティヴィティと教育」。とても難しいですが、取り組み甲斐のあるテーマをいただきました。しばらく考えてみます。
posted by naoki at 23:55| Comment(12) | TrackBack(0) | メウ・アミーゴス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする